日立製作所は1月10日、エアコンや空気清浄機などの小型ファンモーターを制御し、省エネルギーを促進する1チップインバータICとして、600V/1Aの高耐圧を実現した「ECN30210シリーズ」を開発したことを発表した。

エアコンや空気清浄機などの小型ファンモーターを使用する家電製品は、省エネルギーへのニーズの高まりから、インバータICを用いた高効率化が進んでいるが、近年では、新興国市場におけるそうした製品でもインバータ機能のニーズが高まってきており、今後、インバータICを使用した高効率製品の拡大が見込まれている。しかし、新興国では電源の電圧変動幅が大きい場合が多く、製品にかかる電圧変化が大きくなることから、より高い耐圧性能を持ったインバータICが求められていた。

同シリーズは、SOIプロセスを適用した素子を採用し、素子構造を一新することで1~2Aの小容量1チップインバータICながら600Vの耐圧を実現した。また、従来製品の15V電源定電圧保護や電流制限機能に加え、過熱・拘束・過電流などの保護機能を拡充したほか、従来品比で待機時消費電力を0.3Wから0.1Wに、インバータ動作時の消費電力を2.6Wから2.3Wに低減することに成功した。

さらに、新たな15V電源スタンバイ機能により、待機時の15V電源からICに流れ込む電流の遮断が可能となった。

加えて、新型パッケージ(DIP/SOP)の採用により、従来品と比べて約半分となるパッケージ厚を実現したほか、高耐圧端子の絶縁距離確保により絶縁コーティングやリードカット作業が不要となり、機器への実装工程でのコスト低減が可能となった。

なお、同シリーズは即日サンプル出荷を開始しており、サンプル価格は350円から。量産は2013年夏に開始し、2014年に月産100万個の量産規模を予定しているという。

左がDIP、右がSOPパッケージ