パナソニック デバイス社は1月9日、車載機器やパワーデバイス、LED照明など機器の放熱対策に適した熱伝導率 1.5W/m・Kを実現した多層基板材料「ECOOL-M」を開発したことを発表した。
半導体や電子部品の機能性向上や情報通信における大容量・高速伝送化などが進む中、各種機器の小型・薄型・軽量化により、機器の熱設計に必要な空間的な余裕がなくなってきていることから、市場からは、放熱性に優れ、加工しやすい電子回路基板材料が求められるようになってきた。そうしたニーズを受けて同社でも、有機樹脂の基板材料ながら高い放熱性を有する「ECOOL(品番:R-1787)」を量産してきたが、多層基板における高放熱ニーズは今後さらに拡大すると判断し、新たな商品として「ECOOL(品番:R-1787)」の樹脂設計技術を応用展開することで高熱伝導を実現した今回の多層基板材料「ECOOL-M(品番:R-15T1(コア材)、R-14T1(プリプレグ)」の開発に至ったという。
こうした技術を用いた同製品は、同社の従来品の熱伝導率0.4W/m・Kに対し、1.5W/m・Kと大きく向上させることに成功。また、電気火災安全性の指標の1つである耐トラッキング性にも優れ、従来品のCTI200から、業界最高レベルのCTI600へと引き上げられた。さらに、耐CAF(Conductive Anodic Filament)性にも優れ、多層基板における安全性や絶縁信頼性が確保できるようになっている。
加えて、燃焼時にダイオキシン発生の可能性があるハロゲン系の難燃剤を使用していない地球環境に配慮した多層基板材料で、UL難燃性(等級94V-0)相当の実力を持っている。ULの認定取得そのものは2013年の夏を予定しており、中でもUL難燃性(等級94V-0)の認定取得については2013年1月を予定しているという。
なお、同製品は、2013年春からサンプル出荷を開始するほか、量産については2013年年夏ごろから開始する予定としている。