ルネサスエスピードライバは、タッチパネルコントローラを内蔵したWXGA対応低温poly-Si(LTPS)TFT-LCD用ドライバ「R63000」を開発、サンプル出荷を開始したことを発表した。

拡大するスマートフォン市場ではディスプレイの大型化、高画質化、高精細化が進んでいる。また、大半の機種でタッチパネルを標準装備しているが、その方式も抵抗膜方式から静電容量検出方式に移行し、さらに薄型/低コスト化を狙ったインセル型が注目されつつある。そこで同社は、そうしたインセル型で相互容量検出方式タッチパネルに対応するためのドライバ製品を新たに開発したという。

具体的には、液晶ドライバとタッチパネルコントローラの1チップ化した。液晶ドライバはRAM内蔵でHD720、WXGAの解像度に対応している。タッチパネルコントローラはセンサ本数Rx20本、Tx36本で、表示サイズは5.5型まで対応し、10点のマルチタッチにおいて120Hzで座標のレポートが可能となっている。1チップ化により、従来の2チップ構成に比べてコスト削減が可能で、インセルのタッチセンサと組み合わせることにより、センサガラスやFPCが不要となり、液晶モジュールとしても、コスト削減に寄与するという。

また、独自センサ技術により、指やペン、手袋でのタッチ検出が可能となった。座標精度、リニアリティともに±0.8mmを確保できる見込み。インセル型のタッチパネルは、LCDからのノイズの影響を受けるが、同製品では1チップ化により、LCD信号と密に同期化することでS/Nを向上させた。さらに、微小な検出信号を増幅する回路方式により、タッチ時の信号量を確保し、高性能なデジタルフィルタにより確実にノイズをカットしている。これらの技術を合わせ、100以上のS/Nを確保した。

プロセッサコアにはARM Cortex-MOを搭載。タッチパネルコントローラの制御には、大量のデータの信号処理を短時間で処理し、座標などを求めることが要求されるが、Cortex-MOでは処理速度、消費電力、コスト(ゲート数)のバランスが良いのに加え、汎用性に優れ、開発環境なども市販のツールを利用することができることから、効率の良いデバッグを行うことができるため採用が決定されたという。

さらに、液晶ドライバとの1チップ化による電源回路の共有による低消費電力化も図られているほか、スワイプ起動モード、間欠動作モードなど、様々な低消費電力動作モードも備えている。なお、タッチパネルコントローラ部は通常動作時で26mWと、従来品比でさらなる電力の削減が図られている。