NHKと米ディスカバリーチャンネルは1月7日、国立科学博物館の協力のもと、巨大なイカ「ダイオウイカ」が深海に生息する様子を映像として撮影することに成功したことを発表した。
ダイオウイカは、イカやタコの仲間としては世界最大級の大きさを誇り、最大で約18mのものが確認され、世界各地の巨大イカ伝説のモデルとされているが、深海に生息するために、その生態はほとんどわかっていなかった。
今回の映像は2012年7月10日、小笠原・父島の東15kmの沖合で取材チームが撮影したもの。透明ドーム型の340度の視界を有する潜水艇で水深630mまで潜り、超高感度ハイビジョンカメラを用いることで成功したという。
撮影されたダイオウイカは全長が3mほどで、もっとも長い触腕と呼ばれる2本の腕が切れていたものの、潜水艇前部に取り付けられた1m大の餌のソデイカを長い腕で抱え込んでいる様子が確認されたという。また、大きいものでは直径5cmほどの腕の吸盤や巨大な目も確認できるという。
これまでにも海上につり上げられた姿が撮影された映像はあるが、深海に生息する様子を映像でとらえたのは世界で初めてとのことで、潜水艇に同乗した国立科学博物館の窪寺恒己博士は「今までいろいろな世界中の研究者がダイオウイカの生きている映像を生息環境で撮ろうとしたが、全部失敗している。今回成功した映像からダイオウイカのいろいろな生態的なことを導き出すことができるようになる」とコメントしている。
なお、NHKでは1月13日に総合テレビにて、NHKスペシャル「世界初撮影! 深海の超巨大イカ」と題して、これまでの取材の模様などを放送する予定だ。