IDC Japanは、2012年第3四半期(7~9月)の国内サーバ市場動向を発表した。それによると、2012年第3四半期の国内サーバ市場規模は1,133億円で、前年同期にあたる2011年第3四半期から5.9%減少。一方、出荷台数は14万4千台で、前年同期から9.4%の減少したという。
今期は、メインフレームが前年同期比プラス2.8%で3四半期連続してプラス成長となり、金融業、流通業、製造業向けに大型機の出荷があったという。特に金融業向けの更新案件は2012年に入ってから好調を維持しているという。
IA64サーバは、通信キャリア向けに大型案件があったが、わずかに前年同期の出荷額には達しなかった。RISCサーバは前年同期にあった「京」の出荷の反動があり2桁のマイナス成長となり、x86サーバは、前期に続き情報サービス業向けの出荷は好調なものの、1,000台を超える大型案件の件数は前年同期と比較して減少しているという。
ベンダー別出荷額では、NECと富士通が同率で1位で、NECは、x86サーバで通信業向けの大口の案件を6期連続して獲得し、富士通はx86サーバで、金融業、製造業、情報サービス業向けに大口の出荷があったという。
3位はIBMで、同社はメインフレームで前年同期の出荷額を上回ったものの、他の製品分野が振るわなかったという。4位の日立製作所は、メインフレームとRISCサーバーが好調でメインフレームは、金融業向けの大型案件があり、出荷金額を大幅に増やした。また、RISCサーバでは、官公庁向けにHPC専用モデルの大型案件が複数件あったという。
一方、ベンダー別出荷台数では、NECが1位で、富士通が2位。両社の差は出荷台数においても500台の僅差で、x86サーバの出荷台数でやや勝るNECが今期は首位を獲得した。なお、台数ベースでは3位はHP。
IDC Japan サーバー リサーチマネージャーの林 一彦氏は「今期は、NECと富士通、IBMと日立製作所の出荷額シェアが僅差となり、一段とシェア争いが厳しくなってきた。その中でx86サーバがサーバ市場に占める割合は、前年同期から2.2ポイント上昇し、市場の57.7%となった。サーバベンダーは、シェアの確保だけでなく損益分岐点の見極めが重要になってくる。今後サーバベンダーは、自社製品の収益性と、シェアの分岐点をにらみながら自社の得意とする製品ポートフォリオを構築していく必要があるだろう」と指摘している。