新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は12月26日、電気通信大学(電通大)が、大型放射光施設「SPring-8」に燃料電池専用の「先端触媒構造反応リアルタイム計測ビームライン(BL36XU)」を設置し、竣工式典を行ったことを発表した。
NEDOが進める「固体高分子形燃料電池実用化推進技術開発」では、燃料電池自動車(FCV)の将来における本格普及に向けた燃料電池の高性能化や低コスト化に向けた開発が進められている。高性能かつ低コストな燃料電池を実現するためには、燃料電池触媒として用いている白金の反応、劣化メカニズムの解析、触媒構造と反応との関係などを解明し、脱白金・低白金化を見据えた新たな燃料電池触媒の開発に繋げることが求められている。
SPring-8のXAFS(X線吸収微細構造)解析手法は、高輝度の放射光により燃料電池動作条件下において、短い時間で微小な領域のダイナミックな現象の解析を可能とするなど、燃料電池触媒の反応、劣化メカニズム解明に対して有効な手法として期待できることから、今回の技術開発では、燃料電池の電極触媒解析用として世界最高水準の時間分解能および空間分解能を併せ持った最新鋭の装置構成を設計、燃料電池用XAFS解析装置「先端触媒構造反応リアルタイム計測ビームライン」として導入が決定された。
同ビームラインの高輝度の放射光を用いた計測により、これまで十分に解明にされていなかった燃料電池動作時の燃料電池触媒の反応や劣化メカニズムの解析が可能となることから、燃料電池のさらなるブレークスルーが可能となり、FCVの本格普及に向けた新たな燃料電池の開発につながることが期待されるとのことで、NEDOでは、これらの解析結果を活用することで、燃料電池の性能向上と低コスト化を実現する、低白金・脱白金化を見据えた新規燃料電池触媒の開発を進めていくとしている。