気象庁は、津波の発生をいち早く検知するために東北地方の太平洋沖合に設置を進めている3基の海底津波計のうち、機能を確認した2基の運用を開始した。東日本大震災(昨年3月11日)をもたらした「東北地方太平洋沖地震」のような日本海溝付近で起きた津波の場合、場所によっては地震発生後10分程度で捉えることができるという。南海トラフ域での津波などを含め、日本の太平洋沿岸での津波警報に活用される津波計は合計37基となった。

今回運用を始めた津波計は、水圧の変化から津波を検知する「ブイ式海底津波計」で、観測されたデータは、近くの海上に浮かべたブイから衛星通信によって気象庁に送信される。気象庁は2基を日本海溝の東側の、岩手県方沖約380キロメートルと約320キロメートルの水深約5,000メートルの海底に設置した。もう1基も来年3月までに、宮城県沖約350キロメートルの海底に設置する予定だ。

同様な水圧式津波計はこれまで、気象庁のほかに防災科学技術研究所や東京大学地震研究所、海洋研究開発機構が、北海道・釧路沖や岩手県・三陸沖、千葉県・房総沖、神奈川県・相模湾、静岡県沖、紀伊半島・熊野灘、高知県・室戸沖に計35基を設置している(ただし、東大地震研の三陸沖の2基は被災して欠測中)。このうち熊野灘には、海洋研究開発機構による「地震・津波観測監視システム」(DONET)として20基が設置運用されている。さらに防災科学技術研究所は、北海道から千葉県沖に154基の津波計などを設置する観測ネットワークの整備を2014年度完成を目指して進めている。

日本近海での水圧式津波計の配置図(提供:気象庁)

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