国民生活センターは12月20日、オンラインゲームに関するトラブルへの注意を呼びかける記事を公開した。

現在、オンラインゲームが抱えるさまざまな課題について、ゲーム業界などでも、議論や取り組みが開始されているが、いまだ「親の知らない間に子どもが購入したオンラインゲームのアイテム代金がカード会社から請求された」といった相談が同センターに多数寄せられている。

また、サービス形態の多様化、複雑化が進んだことで、トラブルが顕在化しにくく、いったんトラブルとなると解決が難しい状況になっているという。

同センターは今回、トラブルの未然防止、拡大防止のため、業界にさらなる取り組みを求めるとともに、特に子どもに利用させるオンラインゲームの仕組みや利用実態を大人が理解すること、また利用方法などを事前に親子で話し合うように呼びかけている。

同センターによると、オンラインゲームに関する相談件数は年々増加しており、契約当事者が未成年者の場合の相談件数については2010年度で微減したものの、2011年度以降は増加している。

2009年度の相談件数は1437件、2010年度は2043件、2011年度は3501件、2012年度は3107件(前年同時期は1544件)で、うち契約当事者が未成年者のケースは、2009年度は378件、2010年度は353件、2011年度は780件、2012年度は548件(前年同時期は、327件)となっている。

オンラインゲームに関する相談件数(発表資料より)

また、同センターに寄せられた相談事例も紹介されている。

  • 相談事例1 子どもが大人のクレジットカードを無断で利用したケース
    クレジットカード会社から身に覚えのない20万円弱の高額な請求が届き驚いた。クレジットカード会社に確認したところ、オンラインゲームの利用料であった。同居している孫が、彼の友達が3~4人来ている時に、私の財布から勝手に抜き取り、皆で一緒に私のカード番号等を登録したと白状した。(2012年9月受付 契約当事者:中学生 男性)

  • 相談事例2 子どもが大人の携帯電話・スマートフォンを利用したケース
    父親である私がスマートフォンを購入する際、ゲーム配信サービスのサイトに登録した。その際、そのサイトのIDにクレジットカードも登録した。その後、時々、小学1年生の息子にスマートフォンを使わせていたところ、有料のゲームをダウンロードしたようで、約1万円の料金を請求された。息子に確認すると、ダウンロード時に暗証番号を入れる必要はなかったと言う。(2012年4月受付 契約当事者:小学生 男性)

  • 相談事例3 利用方法等の話し合いや仕組みの理解が不十分なケース
    数ヵ月前、中学生の息子がタブレット端末を購入した。その後、音楽をダウンロードしたいのでクレジットカードを利用させてほしいと頼んできたので、今回だけならいいと思い、カード番号等を口頭で伝え、数百円の代金を息子から受け取った。ところが、今月、クレジットカードの利用明細に使った覚えのない約10万円が記載されていた。クレジットカード会社に問い合わせると、オンラインゲームの利用料金であることが分かった。息子に事情を聞くと、確かにオンラインゲーム内で通貨を得たが、実際にお金がかかるとは思わなかったと言う。(2012年9月受付 契約当事者:中学生 男性)

  • 相談事例4 子どもが思わぬ決済方法を利用したケース
    サイトAの会員IDにクレジットカード情報を登録している。小学生の息子に、このサイトAのIDとパスワードを教え、サイトAの中にある無料ゲームを使わせていた。ところが、今月のカード利用明細に数十万円の料金が記載されていた。クレジットカード会社に問い合わせると、最近、子どもに利用させていたサイトAと別のオンラインゲーム会社Bが提携し、サイトAのIDがあれば提携先の有料ゲームができるようになり、知らない間に息子がそのゲームを利用していたことが分かった。(2012年9月受付 契約当事者:小学生 男性)

同センターは消費者へのアドバイスとして、以下の5点を挙げている。

  • 子どもにオンラインゲームを利用させる場合には、利用方法等を子どもと十分に話し合う
  • クレジットカードやその情報を登録しているサイトID等の管理には細心の注意を払う
  • 大人の携帯電話やスマートフォン、大人が会員登録したIDを未成年者には利用させない
  • オンラインゲームを子どもに利用させる場合には、ゲームの内容や課金の仕組み、利用する機器の機能を十分に確認する
  • トラブルにあった場合は、最寄りの消費生活センターに相談する