NTTコムウェアは、東日本大震災時に特に顕在化した携帯通信網の輻輳・途絶という問題点を解決するため、近接通信手段であるBluetoothを用いて、近くの人同士をPeer to Peerで接続するローカルネットワーク構成技術を開発したと発表した。
同社は、Bluetooth接続が1対1が基本であるところを1対多、さらには多対多で接続させることで、携帯通信網に依存しない大規模ネットワークの形成が可能になると考え、新しい通信接続方式を実現させた。現在は、この技術により構成するローカルネットワークの評価検証を行っているという。
同社が研究開発中の技術は、複数の端末をBluetoothによってリング状につなげていくもの。複数端末をスター型に接続すると1端末当たりのBluetoothの接続可能数の上限をすぐに超えてしまうという課題があるが、リング状に接続することで1端末当たりの接続数を減らすことができ、1つのローカルネットワークにおける接続可能数の大幅増が実現するという。
一方で、リング状にネットワークを構成すると端末数の増加に応じて1つのローカルネットワーク上での情報伝達時間が増加するという別の課題も発生するが、リング状のネットワークに参加している端末数を少数単位に分割することで伝達速度の遅延を回避した。
今回開発した技術を利用すると、帰宅困難者や避難者の集まりで端末同士が接近することをきっかけに、近接通信ネットワークの自動形成を可能とするほか、このネットワークを用いて、その場にいる人同士の情報伝達や情報共有が可能となり、災害時に有効なコミュニケーション手段として機能するという。
例えば、駅など公共施設に情報発信ポイントとしてBluetooth機能を有する端末を設置することで、その付近の人々への情報提供が可能となり、さらに、これらの通信を行うと、接続した端末の「足あと」が残ることから、安否情報収集・確認にも役立つと考えられるという。
Bluetoothによるローカルネットワークを実際に活用するには、ネットワークが大規模になった場合のクラスタ間の情報伝達経路管理や、ネットワークに参加していた端末が電源切れや移動した場合のネットワーク復旧に向けた高速制御技術等が必要になるため、今後はこれらの課題を解決していくことで、「いつでも、どこでも、誰とでも手軽に情報伝達・共有」を可能とするローカルなコミュニケーション環境の実現に取り組んでいくという。