近畿大学とナニワ炉機研究所は12月18日、同大理工学部の井田民男准教授のグループが研究開発を進めている次世代バイオリサイクル燃料「バイオコークス」について、連続でバイオコークス生成を可能にすることで生産能力を従来機の約4倍に高めた新型連続製造機を開発したことを発表した。

バイオコークスは井田 准教授が開発したバイオ燃料の一種。飲料工場から大量に排出・廃棄される「茶かす」をはじめ、ほぼすべての光合成由来バイオマスから製造可能で、製鉄・鋳造炉で燃料として使われる石炭コークスの課題である化石燃料の枯渇や輸入価格変動リスクを解決する、代替エネルギーとして期待されている。

ほぼすべての光合成由来バイオマスから製造可能であるため、製造時に新たな廃棄物が出ない(ゼロ・エミッション)、石炭コークスよりCO2排出量を削減できる(植物由来のため排出量はゼロカウント)、食糧や飼料を原料として消費せずに済む、といった利点がある。

製造方法は、茶葉や木くずなどさまざまな自然由来の原料を乾燥・粉砕してからシリンダーの中に充填し、圧力をかけて硬度を高めながら加熱と冷却を加え、円筒形の固形燃料に仕上げるというもの。従来の製造機では、シリンダー内に原料が停止した状態(同じ位置)で加熱と冷却のプロセスを順次行っていたが、今回開発された新型機では、この仕組みを抜本的に変更し、原料がつねにシリンダー内を移動しながら、まず加熱ユニットを通過中に加熱され、次に冷却ユニットで冷却されるという流れ作業型のシステムを採用した。

この結果、原料充填から加圧、加熱、冷却、そして完成したバイオコークスを切断・排出するまでの全工程を完全自動・ノンストップで稼働できるようになり、バイオコークスの製造能力は従来機の約4倍に向上することができたという。 また、従来機から省電力も進み、製造に必要な電力は従来機の20%にまで低減できたという。

なお、同大学は2012年12月1日付で「近畿大学バイオコークス研究所」を開設している。今後は北海道恵庭市施設を同研究所の地域拠点と位置づけ、さらに研究開発を進めていくほか、北海道でのバイオコークス普及に向けた取り組みも取り組んでいく予定としている。

バイオコークスの外観

今回、開発された新型のバイオコークス連続製造機。上段が全景。下段左がバイオコークスの原料となる茶葉を投入するゾーン。下段右がバイオマスを加熱するゾーン