米調査会社のGartner(ガートナー)は12月13日(米国時間)、2012年の世界半導体市場の売上高が前年比3.0%減の2976億ドルになるとの見通しを発表した。
2012年の半導体市場は、年初の予測では、後半に受注が回復し、年全体で微増するものと期待されていたが、第3四半期が通常よりも低い受注となったことに加え、第4四半期の各企業の見込みも、回復をうかがわせるものではなかったことから、こうしたマイナス成長になるとの結論に至った。この結果に対し、同社のリサーチ・ディレクターであるStephan Ohr氏は「2011年から続く世界経済の先行き不安などから市況が悪化し、引き続き消費者が支出を抑えた結果、電子機器の在庫が増えたため、半導体の発注が減少した。通常であれば半導体市場を牽引するPCの生産も前年比2.5%減となったほか、新興国向けのPCは、より安いCPUやメモリを搭載したものが増えた」と要因を分析するほか、「消費者マインドに大きく左右される携帯電話、ノートブックPC、液晶テレビといった電子機器の販売が不振だったほか、これまで急成長を続け、依然として半導体市場の成長を牽引しているスマートフォン市場でも、減速感が出ている」と電子機器全般が不振に陥りつつあることを指摘する。
また半導体市場の上位25社が占める割合は同4.2%減と、市場全体の下げ幅よりも大きなマイナス幅になるという。企業別では、IntelがPC市場の低迷から、成長率が前年比2.7%減となるも21年連続で首位の座を確保した。また、2位にはDRAM、NAND型フラッシュメモリ、システムLSIといった3つの主製品がマイナス成長となったもののSamsung Electronicsがこちらも前年より維持した。注目すべきは3位で、スマートフォン向け半導体や、中国およびインド向けの3G、LTE向け半導体が大きく伸び、同29.6%増を達成したQualcommが前年6位から大きく順位を上げた。
また、4位は前年同様にTexas Instrumentsが、そして前年3位であった東芝が5位へと順位を下げている。東芝は、年後半にNAND型フラッシュメモリの市況悪化から生産調整を実施したほか、液晶テレビなど民生機器製品の販売低迷から、売り上げを落としたと見られている。
6位には前年5位だったルネサス エレクトロニクスが同5.8%減でランクインした。PCや民生機器向けマイコン、パワー・マネジメントICやSoC(ASIC/ASSP)といった主力製品全般で売り上げが低迷したことが要因だと同社では分析している。