会社などの組織に所属する人の多くが何らかの恐怖心を抱きながら、会社での日々を過ごしているという。このような状況は、会社やチームの成長には逆効果だと専門家が警告している。

Incの記事「従業員に恐怖を抱かせないためには(Help Your Employees Be Fearless)」を紹介したい。

自分の会社のオフィスの様子を思い出してほしい。PCの画面に向かって熱心に仕事をしているように見えるあの人が、実は、上司であるあなた、もしくは同僚であるあなたと目を合わせないために画面を見つめているように見えないだろうか?

その可能性はゼロではない。

Robert Half Internationalの調査によると、組織で働く人の15%が「上司と衝突するのが怖い」と述べており、13%が「同僚と衝突するのが怖い」と回答したという。仕事でミスをしないかとおびえながら仕事をしている人は、実に3人に1人(28%)という。

ミーティングも恐怖のようだ。「人前でプレゼンするのが怖い」と13%が回答した。恐怖の対象は社内だけではない。「モンスター顧客が怖い」と感じている人は18%と報告している。

どうやら、現代人にとって仕事やオフィスは恐怖と無縁ではない場所のようだ。「仕事で怖いことはない」という人はたったの3%、つまり97%は何らかの恐怖があることになる。

恐怖は緊張感につながり、ミスを防ぐなどの効果につながることもある。それでも、「チームの創造力にとっては逆効果」と在庫管理のFishbowl InventoryのCEO、David K. Williams氏は警告する。

「組織の中でなにかや誰かを恐れている従業員は自然と閉鎖的になり、本人の実力を発揮できない」とWilliams氏。われわれの脳が発明的になるにはリラックスした状況が必要だが、恐怖感はリラックスとは対局にあるためだ。発明とはいわなくても、恐怖を感じる環境で創造的なアイデア、自由な発想が生まれるとは思えない。つまり、企業やチームの成長、ブレークスルーを望むならなおさら、恐怖を抱かせる環境を改善する必要がある、といえる。

具体的にどうすべきか? 記事では、コミュニケーションが重要だとアドバイスする。

具体的には、上司が部下に対して目標を期待することを明確にする。こうすれば、従業員が上司の考えや意見を推測・憶測することがなくなり、安心した雰囲気につながるだろう。また、上に立つ対場の人が「困ったことや意見があればなんでも聞く」という受け入れの姿勢を示しておくことも大切だという。これらは頻繁なコミュニケーションが最も効果的だ。

社内のルールも見直したい。ポリシーをガチガチに固めると、ミスを恐れるようになり、自由な発想は生まれない。Williams氏はポリシーよりも原則を伝えることを奨励する。「〇〇はXXまで」などと細かなプロセスやポリシーを規定するのではなく、「尊重」「信頼」「勇気」「コミット」などの原則でちゃんと同意しておけば、従業員は自分自身で解決策を見いだすようになるとしている。