ジュニパーネットワークスと、英誌「エコノミスト」の調査部門「EconomistIntelligence Unit(エコノミスト・インテリジェンス・ユニット)は、世界4カ国(米国、英国、ドイツ、日本)のIT担当役員や企業経営幹部などを対象に、企業におけるIT部門の役割やIT に対する認識などを問うグローバル調査を行い、結果を発表した。
今回の調査は、ITのビジネスにおける役割が、膨大な規模の課題と機会に対応するために、どのように変化しているかを理解するために行われた。
この調査の回答者数は474人で、内訳は171人が米国、119人が英国、102人がドイツ、82人が日本。回答者の51%は、最高経営幹部および取締役で、残りは上級役員と管理職だという。約半分(47%)の回答者が500万米ドル以上の年間売上のある企業に所属している。
同調査によると、調査対象企業の過半数(52%)が、主に「企業の業務効率を向上させる目的」でIT部門を活用していることが明らかになり、新製品・新サービスの開発など、ビジネスに成長をもたらすIT活用がいまだに進んでいないことが判明したという。
ITが企業の成長に寄与している回答した企業は20%(左)、新製品の開発に寄与していると回答した企業は28%(中央)、ユーザーニーズを捉えるのに役立っているという企業は19%(右)と、ビジネスに成長をもたらすIT活用がいまだに進んでいないことが判明 |
一方で、「高収益企業」ほど、IT業務効率の向上目的だけではなく、自社ビジネスの主要分野において重要な役割を担っていることが判明したという。
テクノロジーが自社の業績に果たす役割において、「非常に大きい」と回答した割合は、高収益企業の方が20%高く、ITが新たな市場機会を特定し、ビジネスの成長を後押しするという点について、「強く同意する」と回答した割合は、高収益企業の方が11%高いという。また、 新製品・サービスの開発支援に関し、ITの関与が「非常に高い」と回答した割合は、高収益企業の方が8%高いほか、ビジネスのニーズに対するITの貢献度を常にもしくは頻繁に計測すると回答した割合は、高収益企業の方が11%高いという。
ITとビジネスとの連携を妨げるもっとも大きな障害としては、「連携の実現が経営幹部の優先事項ではない」(36%)、「連携を促進できるスキルを持った熟練した従業員がIT部門にいない」(28%)、「連携に必要な資金」(25%)が挙げられた。なお、この質問における日本の回答では、「連携を促進できるスキルを持った熟練した従業員がIT部門にいない」が44%を占める。
今後3年間で予測されるITの活用では、31%が「ネットワークを通じたコラボレーションと情報共有」、同じく31%が「モバイルデバイスの幅広い普及」、26%が「クラウドベースのリソース活用」と回答している。
なお、同じ問いに対する日本の回答は以下の図のとおり。
また、今後3年間で、ビジネスに成長をもたらすことが期待されるテクノロジー分野における自社の投資対象としては、「ビジネス情報分析」(33%)、「ビジネスプロセス管理」(31%)、「クラウド・コンピューティング/仮想化」(29%)、「モバイルデバイス」(26%)が挙げられている。日本では、22%の回答者が、「システムセキュリティ」が自社の主な投資対象になると回答している。
本調査結果に関し、米ジュニパーネットワークス、シニアバイスプレジデント兼最高情報責任者、バスク・アイヤー氏は「私たちに求められていることは、クラウドやモバイルといった、ビジネスの成長の原動力となる最新テクノロジーを活用することで、これまでの単なるサポート役からの脱却を図り、より戦略的な役割でIT を活用する機会を創出することです。新たな製品・サービスを開発し、新たな市場機会を特定することで、IT は本当の意味でビジネスを変革し、技術面でビジネスを実現させます」と述べている。