アドビ システムズは本日12月12日、「Adobe Creative Cloud」のアップデートを発表した。これにより、Creative Cloudメンバーに向けて「Adobe Photoshop CS6」や「Adobe Muse」の新機能や、同サービスの企業での利用を想定した「グループ版」などが提供される。

「Adobe Creative Cloud」のロードマップ

Photoshop CS6に新機能、HiDPI対応も

このたびのアップデートで、Photoshop CS6の新機能が追加され、「Apple MacBook Pro」のRetinaディスプレイなどのHiDPIがサポートされた。この機能については、Creative Cloudユーザーだけではなく、パッケージ版やライセンス版でPhotoshop CS6を利用しているユーザーにも提供される。

Photoshop CS6の新機能

また、「ぼかしギャラリー」と「ゆがみフィルター」がスマートオブジェクトに対応。CSSコードを簡単にテキストやオブジェクトに書き出し、Webサイトデザインのためにカラースウォッチを読み込むことが可能となった。それ以外にも、「切り抜きツール」の改良によるワークフローの高速化、シャドー効果のライブ(OpenGL)プレビュー改善などの3D機能強化、32ビットのカラー選択ツールを使ったグロー効果作成を含むライトのコントロール機能、ユーザーが定義したルールに基づき、適切なアクションを選択して画像処理のための作業時間を短縮する条件付きアクションも追加される。

ちなみに、このタイミングで「Adobe Illustrator」のアップデートも行われ、Photoshopと同様にHiDPI、Retinaディスプレイに対応した。このアップデートについても、Creative Cloudメンバーだけでなく、パッケージ版やライセンス版のユーザーに対しても提供される。

Creative Cloudに企業利用も可能な「グループ版」登場

また、Creative Cloudのサービス自体のアップデートとして、企業などでの活用に適した「グループ版」が登場した。グループ版では、デスクトップツール、「Adobe Digital Publishing Suite Single Edition」による電子出版やWebサイトのパブリッシング、ファイル共有のためのオンラインサービス、リリースと同時に利用可能となるアップグレードや機能アップデートを含め、Creative Cloudの個人向けプランに含まれるすべての機能とサービスが提供される。

グループ版と個人版の機能比較(左)、ライセンス管理などの比較(右)

グループ版は年間契約ベースで提供されるもので、1ライセンスあたり月額7,000円(アドビオンラインストア価格)。CS3以降の単体またはSuite製品のユーザーには価格面で優待があり、初年度の使用料が月額5,000円の特別提供版(販売は2013年4月30日まで)を利用できる。販売代理店では、年間契約ベースの8万4,000円(市場想定価格、月額7,000円の12カ月分一括)で販売される。

さらに、簡便なバーチャルワークグループの管理や、ユーザーごとに100GBが提供されるファイルストレージ(Creative Cloud個人向けプランでは20GB)、専門家によるサポートサービスも利用可能。グループのメンバーの追加や削除を容易に行うことができる「ワークグループ管理機能」、そして一元化された請求方法と効率的でコンプライアンス対応にも便利なライセンス管理機能も用意されている。

コードいらずのWeb制作ツール「Adobe Muse」がモバイル用サイトに対応

コード記述不要のWeb制作ツール「Adobe Muse」のアップデートも行われた。これまで対応していたPC向けサイトの構築に加え、iPhone/iPadやその他のモバイルデバイス向けのWebサイトのレイアウトを作成可能に。また、デスク上の大型モニターからモバイル端末の小さな画面まで、それぞれの状況に合わせカスタマイズされたサイトの構築も可能となった。

「Adobe Muse」にあらたに追加されたモバイルデザイン機能

デスクトップ同期アプリや新サービスも追加

デスクトップ同期アプリケーションで「Creative Cloud Connection(Preview版)」も追加され、デスクトップ上のフォルダにファイルを保存、あるいはファイルをフォルダにドラッグ&ドロップをするだけで、Creative Cloudと自動的に同期可能となった。

「Creative Cloud Connection」

また、新サービス「Creative Cloud Training」では、著名なトレーニングプロバイダ(Kelby Training、video2brain、Attain)による、Creative Cloudのツールとサービスをさらに活用するためのチュートリアルやトライアルコースを提供。コンテンツは日本語のほか、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語に対応する。同社によれば、このサービスについては、近日中にCreative Cloudの有償メンバー向けに提供開始される予定だという。

なお、「Creative Cloud」は、「Adobe Creative Suite」のすべてのデスクトップアプリケーションに加え、「Adobe Photoshop Lightroom」、「Adobe Muse」、「Edge ツール&サービス」、「Game Developer Tools」などのアプリケーションから任意のものを利用できるメンバーシップ制サービス。既存メンバーは、本日よりアップデートされた新機能について利用することができる。現在、Creative Cloudは急速に普及してきており、2012年11月の時点で有償/無償メンバーの合計が全世界で100万人を超え、その内個人版の有償メンバーシップ加入者は32万6,000人以上となった。今回追加されるすべての新機能は、12月12日に行われたオンラインイベント「Create Now」で紹介されており、アーカイブ版を同イベントWebサイトで見ることができる。