Googleは12月6日、11月に発表した東日本大震災の震災遺構を撮影する「震災遺構デジタルアーカイブプロジェクト」について、Googleマップのストリートビューと「未来へのキオク」で公開した。
同プロジェクトは、被害を受けた施設を管理する自治体とのパートナーシップにもとづいたもので、今回、公開されたのは11月13日から3週間をかけて撮影された岩手県と福島県の34施設。施設の外観や内部を、魚眼レンズで90度ずつ撮影し、これらの撮影画像をつなぎ合わせてストリートビューとして公開している。
公開されたのは、1階部分に津波が運んだ大量の土砂と押し流された軽自動車が残る陸前高田市役所 旧庁舎や、行われなかった卒業式の看板が架かる浪江町立請戸小学校など、岩手県・大船渡市の12施設、釜石市の8施設、陸前高田市の10施設、福島県・浪江町の4施設。
撮影した施設の中には、すでに解体が始まっているものもあるという。Googleでは、「時間とともに薄れゆく記憶を写真にとどめ、さらには震災を経験したことのない今後生まれてくる世代にとって、地震と津波が引き起こす被害に触れるためのひとつの道具として、活用されることを期待する」としており、今後、宮城県で撮影を行うほかに、施設のデジタルアーカイブを希望する自治体や施設管理者をプロジェクトのページで募集している。
東日本大震災の記録を残すアーカイブには、同じくGoogleが、震災から約半年後の街並みを4万4000kmにわたって撮影した画像をストリートビューとして公開しているほか、国立国会図書館による記録の収集と国内外の各機関などが所蔵している震災の記録を把握する「東日本大震災アーカイブ」の構築を進めている。このほかにも、ヤフーが行っている震災の写真や復興の様子を収集する「東日本大震災 写真保存プロジェクト」、東北大学災害科学国際研究所による震災の記憶や記録を収集して国内外や未来に共有する東日本大震災アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝 (しんろくでん)」などがある。