日本電気(以下、NEC)は12月5日、目に見えない光である遠赤外線を検知可能な、非冷却型赤外線センサにおいて、世界最小(NEC調べ)となる12μmの画素サイズ(画素ピッチ)による超小型の赤外線センサを開発したと発表した。

NECが開発した非冷却型赤外線センサ

今回開発した赤外線センサは、同社従来製品との体積比で1/10となる小型化に成功し、赤外線カメラの大幅な小型化が可能となるため、赤外線カメラの活用シーン拡大への貢献が期待される。

例えば、監視カメラは一般的に可視カメラが使われているが、時間帯や天候、日照、季節など不規則に変化する監視環境でも安定した映像情報を取得することが課題となっている。本センサを用いることで、これらの課題を解決する監視カメラソリューションの実現が可能となる。

また、捜索救難などに用いる赤外線カメラが広く普及することにより、夜間や災害時の人命救助等への更なる貢献も期待できる。

今回開発したセンサは、独自のMEMS技術を用いた特殊な画素構造により、世界最小となる画素ピッチ12μmで640x480ドットの高精細を実現した。これにより、センサ自体が小型化できることに加え、センサと組み合わせる赤外線レンズの体積削減が可能となる。

さらに、今回の開発ではセンサチップ内読み出し回路の設計を見直すことで、センサの出力電圧調整のデジタル化と低消費電力化を図った。デジタル化により従来のアナログに比べ、用途に合わせた、より最適な赤外線映像を出力ができる。

センサの主な仕様は、検出器:非冷却マイクロボロメーター、画素数:640×480、画素ピッチ:12μm、感度波長帯:8-14um、寸法:24×24×6.7mm、質量:11g。

現在、NECでは独立行政法人産業技術総合研究所と共同で赤外線受光面材料の開発を行っており、今後その成果を活用し、より高感度化な赤外線センサの実現を目指す。

なお、本試作開発は、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の次世代戦略技術実用化開発助成事業「小型軽量低消費電力化赤外撮像MEMSセンサの実用化開発」を活用した成果となる。