Freescale Semiconductorは、Power Architectureテクノロジをベースとしたマルチコア・マイコン「Qorivva」製品として、パワートレイン向け製品「Qorivva MPC5777M」を発表した。

自動車業界は、環境保護などの観点から、燃費を向上させつつも汚染物質の排出を削減することが求められるようになっており(米国では2025年までに54.5MPG(約23km/l)の燃費基準が期待されている)、エンジン燃料プロセスのエレクトロニクス化が加速している。

同製品はそうした2025年以後の基準を満たすことを目的に開発されたパワートレインマイコンで、従来型のディーゼル/ガソリン直噴システムだけでなく、ハイブリッド電気自動車やプラグイン電気自動車にも対応するものとなっている。

また、従来品「Qorivva MPC5674F」と比べて3倍の性能を発揮でき、これにより自動車メーカーは、燃費改善と汚染物質の排出削減を同時に実現することができるようになる。さらにスマートなオンチップ・パーティション設定が可能なため、高性能動作と低消費電力動作の切り替えをほぼ瞬時に行うことが可能で、高度化する車両電気系統に加わる負荷を軽減することができる。

加えて、ISO 26262機能安全規格に準拠するような定義と開発が行われており、これにより次世代パワートレイン・コントローラに機能安全技術を組み込み、ASIL-Dに準拠させることが可能となるほか、ハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)を備えているため、ハッカーによるエンジン制御ユニットの乗っ取りを防ぐことができたり、タンパー検知機能により、不正なコード変更、電力修正、排出改ざんからシステムを保護することが可能となっている。

なお同製品はすでに特定顧客向けにアルファサンプルを出荷中としており、一般向けサンプル出荷を2013年第3四半期より開始する予定としている。また、設計の製品化を加速させるため、パワートレイン開発向けの包括的な開発ツール・ソリューションの提供も行っていくとしている。