ルネサス エレクトロニクスは11月29日、PC/産業機器/OA機器/民生機器/ネットワークなどの幅広い分野におけるASICなどの大規模ロジック向けPOL(Point Of Load)コンバータ用ICであるmini-POL「RAA20770Xシリーズ」6製品を開発したことを発表した。

同シリーズは、ウェハレベル・チップサイズ・パッケージの採用により、チップ内配線抵抗やパッケージのワイヤ抵抗の低減を実現。これにより、小型ながら大電流供給可能なPOL用デバイスを実現でき、例えば、最大定格電流10A品「RAA207701GBM」を用いた場合、パッケージサイズは従来品比75%減となる2.7mm×3.4mmを実現したほか、パッケージ表面からチップ接合部までの熱抵抗約1℃/Wを実現しており、放熱板やエアフローとの併用による高放熱設計が可能になるという。

また、次世代ノートブックPCでは、タブレットPCや携帯電話と同様にスタンバイ時の情報更新取得機能が要求されており、これを実現するために、スタンバイ時の消費電力を低減する必要があることを鑑み、オンタイム固定制御方式を採用することで、負荷電流が少ない低消費動作モードでは、動作周波数を下げてPOLコンバータの消費電力を低減し、無負荷時は約1.6mW、スタンバイモード時は約0.5μWを実現したとする。

さらに、POLコンバータに要求される、過電流保護、過電圧保護や過熱保護などの各種保護機能を内蔵しているため、少ない外付け部品で高信頼性の電源システムを設計することが可能となるほか、使用するアプリケーションに応じて、出力電圧や動作周波数を変更することが可能となっている。加えて、同シリーズの中でも「RAA207703GBM」、「RAA207704GBM」、「RAA207705GBM」の3品種は5V LDOを内蔵しており、電源コントローラ用の5V電源を自己供給可能であるため、外部からの電源供給が不要であり、これにより、12Vなどパワー用電源のみの単一電源動作を可能としている。

このほか、入力電圧12Vや5Vから、ASICなどの大規模ロジック用に1Vや3.3Vに降圧変換するPOLコンバータに最適で、2つのパワーMOSFETとその駆動制御を行う電源コントローラ(ドライバ内蔵コントロールIC)を1チップに集積しており、例えば最大定格電流10Aの「RAA207701GBM」では、12V入力、3.3V出力の電力変換効率が、10mA時89%、4A時95%、および10A時92%と、小電流領域から大電流領域まで高効率な電力変換を実現している。

なお、同シリーズは2012年12月よりサンプル出荷を、2013年3月からの量産開始をそれぞれ予定しており、2013年7月には月産50万個を生産する計画だとしている。

ルネサスのPOLコンバータ用IC「RAA20770Xシリーズ」のパッケージ外観