日本HPは11月28日、Intel Itanium プロセッサーを搭載する同社の基幹業務系サーバ「HP Integrity」のラインナップを一新し、最新のIntel Itanium プロセッサー 9500ファミリーを搭載した5製品を発表した。
新製品は、ハイエンドの「HP Cell Blade 900s i4」搭載の「HP Integrity Superdome 2」、ブレード型の「HP Integrity BL890c/BL870c/BL860c i4」の3機種およびラックマウント型の「HP Integrity rx2800 i4」の計5機種。
価格は、「HP Integrity Superdome 2」が2,925万3,000円~、「HP Integrity BL890c i4」が1,586万3,400円~、「HP Integrity BL870c i4」が727万200円~、「HP Integrity BL860c i4」が186万5,850円~、「HP Integrity rx2800 i4」が173万1,450円~。「HP Integrity Superdome 2」が2013年1月中旬から、その他が12月中旬から出荷開始される予定。
日本HP エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 ビジネスクリティカルシステム製品本部 部長 栄谷政己氏は、2010年当時、HPは統合化に力を入れ、ラックマウントからブレードサーバに注力したが、2012年は、仮想化にフォーカスすると説明。「HP Integrity」サーバの強化ポイントとして、コア数倍増、性能最大3倍、省電力、信頼性機能などによる「TCO削減」、「仮想化密度の倍増」、「パフォーマンスの向上」を挙げた。
新製品では、Intel Itanium プロセッサー 9500ファミリーにより、前世代製品と比べて最大約3倍の性能向上と最大21%の低消費電力化を実現している。
また、「HP Cell Blade 900s i4」搭載の「HP Integrity Superdome 2」は、従来製品と比べプロセッサーコアが2倍になり、GiCAP(Global Instant Capacity)機能を活用することで、最新のIntel Itanium プロセッサー 9500ファミリーと、従来のIntel Itanium プロセッサー 9300番台のCPU利用権を筐体を超えて共有することが可能。これにより、新機種への移行を容易にするとともに、バックアップ機を準備する際のコストが低減される。
「HP Integrity BL890c/BL870c i4」では、新たに電気的分離が可能な物理パーティション技術をサポート。これにより、サーバの筐体内を複数の物理パーティションに分けて、個々のパーティションにおいて別々のOSインスタンスを走らせ、それぞれを独立したシステムとして運用することが可能となった。
また同社は、新製品発表にあわせて、HP-UX11iv3最新アップデートリリースとしてサーバ仮想化ソフトウェア「HP-UX vPars and Integrity VM v6.1.5」(以下、「vPars and Integrity VM」)をリリース。「vPars and Integrity VM」は、仮想パーティションへの分割あるいはリソースを共有する仮想マシンを可能にする。vParsについては、従来ハイエンドモデル「HP Integrity Superdome 2」のみの提供だったが、最新版では現行HP Integrityサーバ全モデルに対応する。
日本HP エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 ビジネスクリティカルシステム事業本部 事業本部長 手島主税氏は、同社のミッションクリティカル戦略について、「IDCの資料によれば、国内UNIXサーバ市場において、HPは11年連続のシェアNo.1を続けており、多種多様な業種において基幹系システムを支えている。国内のオープン系サーバ市場は大きな転換機を向かえ、2011年をきっかけに、市場が成熟してきている。これは業務システムが一巡化しているためだ。現在は、これまでのような手間がかかる「スクラップ&ビルド」ではなく、今ある資産を最大限に活用しながら、新たな技術を取り入れていく「持続的成長システム」が求められている。そのために、HPは新しい技術を取り入れるためのプラットフォームの開発に力を入れている。また、これまでの開発のコンセプトを見直し、今後はお客様のニーズを取り込む戦略をとっていく」の述べた。
「HP-UXコンソーシアム」を設立
手島氏のいうお客様のニーズを取り込む戦略の1つが、同日発表されたHP-UXをOEM供給する国内ベンダー各社とともに設立した「HP-UXコンソーシアム」だ。このコンソーシアムでは、HP-UXコミュニティー強化施策の第一歩として、長期間、安定稼働が求められるミッションクリティカル環境で、安心してHP-UX搭載サーバを利用してもらうための、品質・機能改善活動、最新情報の共有や技術交流、共同評価や検証などを実施していくという。
現時点の加盟企業は、日立製作所、三菱電機インフォメーションテクノロジー、NEC、沖電気工業に、日本HPを加えた5社で、今後はSIerやユーザーも含めたコミュニティ活動にも注力していくという。