リコーは、自由に色を塗ったぬりえをアニメーション化したり、パラパラマンガにしたりできるiPhone/iPadアプリ「RICOH TAMAGO ParaPara(ぬりえぱらぱら)」をApp Store上に公開した。
同アプリは、同社が毎年開催している大学生を中心とした学生向けコンテスト「RICOH&Java Developer Challenge」において、2011年度の最終選考会(2012年1月12日開催)にて審査員特別賞を受賞した香川高等専門学校の「Nur-imagio」をベースとしたもの。
基本的な仕様はNur-imagio同様だが、iOS向けに描いた絵を端末のカメラで取り込み、画像処理を施し、端末上でアニメーションをさせることを可能としたもの。同コンテストで同社は、参加学生に対し毎年のごとく、「ビジネス化したいと思わせるようなものを作ってきてもらいたい」と言っていたことが現実のものとなった初めてのものとなる。審査員特別賞の受賞も当初、そういった賞の予定はなかったが、審査委員長ならびに副委員長がそのアイデアを気に入り、急きょ設定されたものであったが、それを同社が推進する「正商品の一歩手前のアイデアレベルのものをビジネスに活用してもらおう」をコンセプトとした「TAMAGO タスクフォース(TF)」が受け入れ、新市場としてのファミリー層を探っていくツールとして新たに開発がなされたという。
実際の製品として提供することを前提にNur-imagipからアイデアをもらって、自社で開発をし直した、とのことで、例えばNur-imagioの場合、スキャナで取り込む際、ぬりえの黒線内の色を判別し、べた塗りとしていたものを、より子供が塗った絵のそのまま感を残すようにして、その形の状態でアニメーションしたりするように作られており、子供向けと言いながら、細かな部分にも配慮したアプリとなっている。
単なるぬりえ(アナログ)とiOS端末(デジタル)の融合のように思えるが、実は五感を使って楽しく遊びつつ学ぶことに配慮した作りになっている。というのも"ぬりえ"はペンやクレヨンを持ち作業することで、手や指を動かす練習にもなるほか、集中してものごとに取り組む練習や、色感を鍛える練習にもなるという。また、iOS端末を操作することで読む、聞く、選ぶ、触る、見るといった感覚の練習ができるほか、iOS端末とプリンタを接続(無線/有線問わず)し、1枚あたり16コマのパラパラマンガとして印刷でき(16コマ、32コマ、48コマの3種類。A4用紙が1~3枚の範囲で選択可能)、それをハサミで切って、作るという行為も手先の練習につながるとのことで、そうしたぬりえの学習効果を研究している相模女子大学 人間心理学科の尾崎康子 教授などとも意見交換を行い、実際に効果が期待できることも確認しているという。
同アプリは幼稚園や保育園に通っている子供を対象としており、主な適用先としては、家庭のほか、病院の待合室や保育園などを想定しているが、店舗でのキャンペーンなどのツールとして、来店した家族連れを対象にパラパラマンガを持って帰ってもらうサービスとして提案するほか、同社の超短焦点プロジェクターなどとの組み合わせによる店舗向けソリューションとしての提案なども行っていくとしている。
また、現在はぬりえ用に同社が独自に用意した4種類の動物キャラクターが提供されているが、オリジナルコンテンツも追加が可能であるため、既存キャラクターとのタイアップなども考えらえるとする。さらに、現在提供されているアニメーション内容としては、iOS上でおやつを上げるというものだけだが、すでに横スクロールのゲーム的なものも開発を進めているとのことで、将来的には追加コンテンツとしてそういったものも提供される見込みとのこと。また、隠しタッチコマンドも用意されているとのことである。
"ぬりえ"のテンプレートはアプリから印刷する方法のほか、リコーWebサイトに用意されているPDFを用いて印刷するなどの方法が用意されている。実際に色を塗った後、iPadなどでそれを撮影すると、色が塗られた状態のキャラクターが取り込まれる |
YouTubeで公開されているリコー公式のRICOH TAMAGO ParaParaのデモ動画 |