2012年度グッドデザイン大賞に選ばれた、NHKの教育番組「デザインあ」。その制作のきっかけや、コンテンツ作りにかける想いを同番組を制作しているNHKエデュケーショナルの佐藤正和氏と大谷聡氏に聞いた。
「デザインあ」は、デザインの面白さを子どもたちに伝えることを目的とした番組。未来を担う子どもたちに、「デザイン」が持っている、より良い社会を作るための役割への気づきをもたらし、物事を多角的にとらえる力や本質を見抜く洞察力、新たな価値を生み出す創造力などを含めデザイン的な思考を育てることを目指している。同番組では、毎回、第一線で活躍するデザイナーが、子どもたちの周りに当たり前に存在しているさまざまなモノや仕組み、人々の行動などをデザインの視点から見つめ直し、映像と音楽で表現していく。
「グッドデザイン大賞」の受賞会見には、同番組を代表して、佐藤氏と大谷氏が出席。受賞の喜びを語った。
会見後、大谷氏にお話を伺ったところ、同番組を作るにあたり工夫したポイントは、「シンプルに、言葉になるべく頼りすぎないよう心がけた点」だという。同氏は、「テレビ番組ではナレーションやテロップといった言葉で補うことをしがちなのですが、「デザインあ」は映像と音楽の力で(視聴者に)伝えるということを柱として制作を進めました」と、受賞作の制作に対する思いを語った。
また、「デザインあ」が制作された背景には、NHKの子ども番組とデザイナーとの密接な関係があったという。大谷氏は、「NHKの子ども番組を作る際には、キャラクターのことや番組全体のことについて、さまざまなデザイナーの方々にご相談させていただくことが多かったんです。NHKの番組全体の中でも、子ども向けの番組はデザイナーさんとのつながりが特に強く、同番組が生まれる素地はあったと思います」とコメントした。
同番組のディレクターには、デザイナーの佐藤卓、中村勇吾、ミュージシャンのコーネリアスといった面々が名を連ねている。佐藤卓は以前よりNHKの子ども番組に関わりを持っていたことから、制作への参加が決まったとのことだ。コーネリアスの参加については、中村勇吾のディレクター就任が決まったのち、同社の佐藤氏が「中村勇吾の映像とマッチする、子どもがまだ触れたことのない音楽」という視点で人選を行い、打診したのだという。
なお、「デザインあ」はNHK Eテレにて毎週土曜日の7:00~7:15(再放送は金曜15:45~16:00)に放送されており、同番組の公式サイトでは過去の放送内容のアーカイブなどを見ることができる。