年末商戦の買い物客の消費動向は実店舗からオンラインに、オンラインショップのトラフィックはPCからモバイルデバイスへと流れているようだ。IBMの2012 Holiday Benchmark Reportsによると、米国の年末商戦の行方を占う感謝祭の連休に、今年はモバイルデバイスを使った買い物客が増加。特にタブレットの伸びが目覚ましく、iPadがモバイルトラフィックのシェア・トップだった。
米国の感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日は、ブラックフライデーと呼ばれる米国で年間最大の商戦日になる。小売店が深夜・早朝に開店し、買い物客は店を移動しながら掘り出し物を探すのが米国の初冬の風物詩だ。ところが近年、オンラインショップも巧みにブラックフライデーセールを仕掛けるようになり、混雑を嫌う買い物客が実店舗を避けてオンラインショップに集まり始めていた。
IBMのDigital Analytics Benchmarkの分析によると、2012年の感謝祭の連休はオンラインショップの売上が前年同期比17.4%増だった。ブラックフライデーだけならば20.7%増。オンラインショップのトラフィックは76%がPCから。モバイルは24%。まだ差は大きいものの、モバイルは昨年の14.3%からの伸びだ。
モバイルトラフィックの内訳は、スマートフォンが54%、タブレットが46%。一般消費者に普及し始めてから2年程度のタブレットがスマートフォンに追いつこうとしている。iOSデバイスがモバイル・トラフィックの大きなシェアを占めており、スマートフォンは約2/3がiOS。タブレットはiPadが88%と他を圧倒している。iPadのトラフィックはモバイル全体の10%弱を占め、スマートフォンを含めて最も利用されたモバイル端末だった。
モバイル端末の販売台数の伸びではAndroidがiOSを上回っているが、買い物客の動向ではiOSの伸びの方が大きい。Asymcoによると、2年前のブラックフライデーのショッピングトラフィックと比べると、Androidはシェアが1.43%から4.92%に増加、iOSは3.85%から18.46%に増加した。伸びはAndroidの3.4倍に対してiOSは4.8倍だ。これはオンラインショップ・ユーザーの間で、タブレットの利用が増加していることが原因の一つとして考えられる。またAsymcoのHorace Dediu氏は、iOS端末とAndroid端末のユーザーの買い物に対する傾向の違いが現れている可能性も指摘する。「ショッピングデータだけでは判断できないが、アプリ開発者や出版社も(有料コンテンツの)消費におけるiOSとAndroidの明白な違いを報告している。ランダムサンプルに過ぎないものの、サポートする例は増えている」(Dediu氏)。