ルネサス エレクトロニクスは11月26日、産業用イーサネット通信向けに、複数の通信プロトコル規格に対応する産業用イーサネット通信LSI「R-IN32M3シリーズ」を発表した。
同シリーズの第一弾製品としては「R-IN32M3-CL」、「R-IN32M3-EC」の2製品を用意。多タスク数、高速時刻同期、低電力が要求される産業用イーサネット通信において、従来CPU処理の中で大きな負荷となっていたリアルタイムOS(RTOS)の処理、およびチェックサム、ヘッダーの並べ換えなどの標準イーサネット通信のプロトコル処理をハードウェア化することで従来比5~10倍の高速処理を実現。ハードウェア化されたRTOS用ドライバーはμITRONに準拠しているが、今後徐々にサポート対象のOSを増やして行く計画だという。
R-IN32M3-CLは日本のオープンネットワーク推進団体「CC-Link協会」が提唱した1Gビット対応の産業用イーサネット通信規格「CC-Link IE Field」に対応したSlave Controllerをハードウェアの回路として搭載した通信LSIで、一方のR-IN32M3-ECは、Beckhoff Automatioが中心となって進める産業用イーサネット通信規格「EtherCAT」に対応したSlave Controllerを同様にハードウェアの回路として搭載した通信LSI。2製品ともに、32ビットのRISC CPU「ARM Cortex-M3(100MHz)」、産業用イーサネット通信に必要な高速スイッチ機能付きMACや内蔵メモリとして768KBのInstruction RAM、512KBのData RAM、64KBのBuffer RAMを搭載しており、ソフトウェアにより実現可能なプロトコルであるEtherNet/IP、FL-netなどにも対応する予定だとする。
さらに、産業イーサネット通信対応の通信インタフェースのほか、CC-Link、CAN、SPI、UARTなどのインタフェースも搭載しており、産業用イーサネットとのゲートウェイ・モジュールとしても利用することも可能だという。
なお、2製品は2013年1月よりサンプル出荷を開始する予定で、サンプル価格は2000円。2015年4月より月産30万個で生産を開始する予定だという。