世界気象機関(WMO)の温室効果ガス世界資料センター(World Data Centre for Greenhouse Gases:WDCGG)を運営している気象庁は11月20日、2011年12月までの世界の温室効果ガス観測データについて、世界の温室効果ガス専門家と協力して解析し、結果を取りまとめ、それをWMOが「温室効果ガス年報(Greenhouse Gas Bulletin)第8号」として公開したことを発表した。
WDCGGは、WMO全球大気監視(GAW)計画の下に設立され、全世界から報告される温室効果ガス観測データを蓄積し公開している世界唯一の国際的な機関。世界各地より報告されるデータの種類や観測所数は年々増加を続けており、近年では船舶や航空機からのデータも報告されるなど、データの量・質ともに拡大しており、こうしたデータは、刊行物として観測者や研究者に提供されているほか、WDCGGにおいても様々な解析に利用されており、その結果が、毎年、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)の締約国会議にも提供されるなど温室効果ガスの現状を伝える活動に利用されている。
今回の解析の結果、大気中の主要な温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)および一酸化二窒素(N2O)は増加を続けており、2011年における世界平均濃度は、過去最高値を記録したことが判明した。
また、これまで人類が大気中に排出してきたCO2のうち、大気中に残留しているのはその約半分で、海洋や陸域生物圏による吸収量が着実に増加していることから、海洋の酸性化の進行と、海の食物連鎖への影響の可能性が示唆されるという。
なお、同年報は11月26日~12月7日の期間にカタールのドーハにて開催されている気候変動枠組条約第18回締約国会議で配布されるほか、気象庁が訳した全文を気象庁のWebサイト上から閲覧することが可能となっている。