新スーパーコンピュータシステムの外観

日立製作所(以下、日立)は、科学技術計算分野向けスーパーテクニカルサーバ「SR16000 モデルM1」を中核とするスーパーコンピュータシステムを情報通信研究機構(以下、NICT)に納入し、11月1日から稼働を開始していると発表した。

今回稼働したシステムは、太陽の活動によって発生する地球周辺の磁気圏の乱れや宇宙放射線を予測する「宇宙天気予報」のための各種データの算出に活用される。さらに今回、従来のシステムではスーパーコンピュータの計算能力の限界から実用化が不可能だった「極端現象」をシミュレートする「極端現象シミュレーションプログラム」を世界で初めて運用を開始するほか、高度500キロメートルの空間の状態をシミュレートする「地球大気圏影響シミュレーションプログラム」も開発を進め、新システムを活用した各種シミュレートにより、太陽の活動を要因とする磁気の乱れが人間の活動圏へ与えるほぼ全ての影響を予測することが可能となる。

太陽活動による地球及び、地球周辺への影響

新システムの中核であるスーパーテクニカルサーバ「SR16000 モデルM1」は、1ノードあたりの理論演算性能980.48GFLOPSを有し、新システム全体として総合理論演算性能25.49TFLOPSの性能を実現している。これはNICTにて稼働していた従来システムと比較して、理論演算性能で約16倍の25.49TFLOPSの性能を有し、宇宙天気シミュレーションの空間精度は、従来システム比で約100倍に向上する。なお、主記憶容量はシステム全体で3.25TBを実装しており、NICTで利用される大容量メモリを必要とするシミュレーションプログラムに対して、最適な計算環境となっている。

また、ストレージシステムには、日立のミッドレンジディスクアレイ「Hitachi Adaptable Modular Storage2500」が採用され、149.61TBの大容量ディスクを備える。なお、ファイルストレージは、日立の仮想ファイルプラットフォーム「Hitachi Virtual File Platform」を採用し、高信頼な環境のもとで、高速なデータの入出力を実現する。