日産自動車は11月20日、レアアースの1つでNd-Fe-B磁石(ネオジム磁石)の耐熱性向上のために用いられている「ジスプロシウム(Dy)」に使用量を従来より40%削減した電気自動車(EV)用モーターを開発、同日マイナーチェンジを発表した電気自動車「日産リーフ」に搭載したことを明らかにした。
EVなどの電動車両用モーターには、その小型化および高性能化に必要な高い磁力を発揮できるネオジム磁石が用いられているが、これまでのジスプロシウムはネオジム磁石全体に均一に分布されるよう添加されていた。
今回の技術は、レアアースマグネットのサプライヤーとの共同で開発したもので、粒界拡散技術を採用し、従来と同等の耐熱性を実現しつつも、ジスプロシウムの使用量の40%削減を実現したというもの。
同社ではネオジム磁石の耐熱性を高めるためには、磁石の結晶粒界(結晶の境目)にジスプロシウムを分布させることが効果的であり、粒界拡散とはその特性に着目した技術だと説明している。
ジスプロシウムは、産出地域が限定されているという地政学的リスクがある一方、ネオジム磁石の適用用途の拡大に伴い、その需要は拡大しており、電動車両の普及を進める上でその使用量の削減や有効活用が重要な課題となっている。
なお同社では今後、ハイブリッド車用モーターにも粒界拡散技術を採用していくほか、駆動用モーター以外の部品では最終的に使用量ゼロを目指した技術開発を行っていくとしている。また、今回のジスプロシウム使用量削減に加え、鋳鉄部品や排出ガス触媒に使用されるセリウム(Ce)やランタン(La)といったレアアースを含有する部品すべてで、使用量の削減ならびに適正化を進めているとのことで、次世代車でこうした技術の採用を順次進めていくとしている。