矢野経済研究所は11月19日、法人のスマートデバイス導入状況について国内の民間企業等に対しアンケート調査を実施し、その結果について発表した。

このアンケートは、調査対象を国内の民間企業、団体、公的機関とし、郵送アンケート形式で実施したもので、業務利用におけるスマートフォン、およびタブレット端末についてその導入状況や目的、また課題等からスマートデバイスを使用した業務のスタイルを分析し、スマートフォンとタブレット端末の導入状況と導入目的について調査したもの。

法人のスマートデバイス導入状況(単数回答)は、タブレット端末とスマートフォンを比較すると、タブレット端末を「導入済み」と回答した法人は2011年調査では9.2%であったが、2012年調査では18.4%と2011年調査と比較すると2倍になった。一方のスマートフォンについて「導入済み」と回答した法人は、2011年調査では11.0%であったのに対し、2012年調査では17.8%と6.8ポイント増に止まった。

法人のスマートフォンとタブレット端末の導入率の比較 資料:矢野経済研究所

この調査結果から、スマートデバイスの導入において、昨年と比較するとスマートフォンよりもタブレット端末の導入が拡大していることが示された。

法人のスマートフォン、タブレット端末の導入目的(複数回答)について、各々の上位項目をみてみると、スマートフォンについては「Eメール閲覧」が78.5%、次いで「社内情報(グループウェア、社内SNS、社内ポータルなど、メールを除く)」の閲覧69.3%、「オフィス文書(ワード、エクセル、PDFなど一般のオフィス文書)」の閲覧などが24.8%と続く。

一方、タブレット端末については、「社内情報(同)」の閲覧が59.0%、「Eメール閲覧」で58.1%とほぼ同率であり、次いで「販売活動(販売用カタログ、販促用デモ、販売実績データなど)」49.4%、「オフィス文書(同)」の閲覧などが45.6%と続く。なかでも「販売活動(同)」についてはスマートフォンの導入目的の比率とは明確な差異が示された。

この調査結果から、法人のスマートフォン導入目的は主に電子メールや社内情報の共有などといった連絡手段が想定されているが、タブレット端末は連絡手段のほか、販売活動や業務用文書の閲覧など、より幅広い用途であることが窺える。

法人のスマートフォン・タブレット端末の導入目的 資料:矢野経済研究所

矢野経済研究所は、「法人のスマートフォンとタブレット端末の導入状況を比較すると、2011年調査時よりスマートフォンよりもタブレット端末の導入が拡大していることが窺え、その背景にはタブレット端末には連絡手段のほか、業務上、幅広い用途が期待されていることが挙げられる。概してタブレット端末はスマートフォンと比較すると、画面が大きいことに加え、従来の紙媒体における情報やデータなどを電子化し、そのまま外出先で販売活動に活用できるなどの利便性がある。今後、法人のスマートデバイスは、スマートフォンよりもタブレット端末の導入が期待されるものと考える」と分析している。