富士通研究所は11月13日、複数枚のA3紙資料を、A4サイズのスキャナで一度にPDF化する画像復元技術を開発したと発表した。
昨今、ペーパーレス化社会の浸透とともに、紙で配布された資料をPDF化し、電子的に保存することが多くなっている。事務机に小型文書スキャナを常設し、紙の資料を手早くPDF化することで効率的な管理ができるが、一般的にはA4サイズのスキャナが多く使われており、A3紙の資料は簡単に電子化できず不便を強いられている。
従来方法では、A4サイズのスキャナでA3紙の資料をスキャンする場合、A3紙を半分に折り、自動紙送り機能を使わずに1枚ずつ両面スキャンしなければならず、特に複数枚スキャンする場合は、手作業に多くの時間を費やしていた。
一方、複数枚のA3紙を半分に切断し、自動紙送り機能を利用して一括スキャンできれば、二つ折りと手差し両面スキャンの作業が省かれ、手作業の負担が軽減されるが、「複数枚をまとめて一括スキャンするため、各A3紙の左部分画像と右部分画像が順不同で混在し、A3画像を復元するための画像の組合せが不明になる」、「スキャナが紙を引き込む際に、紙の滑りが生じたり、搬送速度に僅かな誤差が生じ、そのため、A3紙の左部分と右部分を二回に分けてスキャンし画像結合すると、結合境界で文字や図形のずれが発生」といった問題が発生する。
そこで、富士通研究所では、複数枚のA3紙資料を半分に切断し、それらを一括スキャンした後、元のA3紙のスキャン画像を復元する技術を開発した。
開発した技術は、A3紙の左右の部分画像が混在したスキャン画像から、元のA3紙を構成するための画像の組合せを自動で推定し、元のA3紙を構成する左右のスキャン画像を結合するとき、結合境界部での罫線や文字や図形が自然につながるように、スキャン画像に発生している局所的な伸縮を補正するというもの。
これにより、A4サイズの小型スキャナでも複数枚のA3紙を簡単にスキャンできるようになり、従来のA3紙を半分に折り1枚ずつスキャンする方法に比べ、手作業の時間が2割以下に抑えられ、さらに、従来の方法より結合部のずれの少ない疑似A3スキャン画像が得られる。
富士通研究所では、処理速度の高速化を進め、A4サイズスキャナへの搭載を目指し、また、A3紙のスキャンだけでなく、さらに大きな用紙に対し、多分割した紙片をスキャンするだけで元の用紙サイズのスキャン画像を生成する技術への展開も進めていく。