東芝は11月8日、ハイブリッド自動車(HEV)/電気自動車(EV)などに搭載するリチウムイオン電池の安全性確保と性能劣化を防止するためのデバイスとして、電池の残容量や異常状態の検出の他、残容量の均等化を行う電池監視チップセットを発表した。
チップセットは、監視IC「TB9141FG」とMCU「TMPM358FDTFG」で構成される。監視IC「TB9141FG」は、96V耐圧プロセスを採用し、1つのICで最大16のリチウムイオン電池セルを監視でき、システム全体の部品点数削減が可能となっている。また、電池セル電圧測定精度±2mV(typ.)を実現。電池残量検出の精度を向上させ電池容量の有効活用に寄与する。さらに、IC内蔵のスイッチを用いたセルバランス(電池残量の均等化)構成において、セルバランス実施中でも電圧測定が可能な構成を採用した。セルバランス実施中でも電池電圧変動を監視することができる。この他、モータやインバータに起因するノイズ対策として、監視IC間の通信方式に電位差を利用し、ノイズ除去を可能にする構成を採用することで、ノイズ環境下でも安定した通信が可能となっている。
MCU「TMPM358FDTFG」は、ARM Cortex-M3を採用し、機能安全の国際規格「IEC61508/ISO26262」に対応する。バックアップRAM機能とスリープ機能を実装した他、独自の省電力化技術を適用することで、低消費電力での電池監視システムを実現している。Cortex-M3コア電源遮断中も動作するローパワー回路群を内蔵し、低電圧で動作するSRAMおよび、低電圧を供給するレギュレータ、16ビットプリスケーラカウンタと32ビットアップカウンタを実装。また、電池監視が必要なとき以外は、電池監視用MCUを低消費電力で待機させることができるため、システム全体の電力を下げることができる。
今回の製品化にあたり、TB9141FGとTMPM358FDTFGを組み合わせた基本的なリファレンスモデル(推奨回路)と、機能安全(IEC61508/ISO26262)対応が可能なソフトウェアライブラリも用意。同社では、これらを活用することで電池監視システムを容易に構成できるとしている。
今後、東芝ではHEV/EVの普及拡大に伴い市場伸長が見込まれる電池監視半導体を強化し、市場ニーズに応じた製品を展開することで、2017年度で同市場におけるシェア25%を目指すとコメントしている。
なお、パッケージは、TB9141FGが10mm角の64ピンLQFP、TMPM358FDTFGが14mm角の100ピンLQFP。サンプル価格はTB9141FGが800円、TMPM358FDTFGが1000円。2品種とも、サンプル出荷時期は2013年2月、リファレンスモデル出荷時期は2013年3月、量産開始時期は2014年4月を予定している。