NECは11月7日、ビッグデータ事業の強化として、自社で開発したデータ分で期技術を搭載したシステムを用いて、企業がビッグデータ分析の施行や本格利用を迅速・低コストで開発できるクラウドサービスの販売を開始することを発表した。
NEC執行役員の保坂岳深氏 |
同サービスの第1弾となるのは、「顔認証技術活用マーケティングサービス」「不審者監視セキュリティサービス」そして「テレマティクスサービス」の3つ。「NECは2012年2月にビッグデータ向け体制を確立し、スケールアウト型データベースソフト『InfoFrame Relational Store(IRS)』を提供して以降、さまざまな取り組みを進めて、現在100件超の商談を進めるまでに成長したが、そうした取り組みの中で顧客が3つの事柄に高い注目度を示していることが見えてきた」(NEC執行役員の保坂岳深氏)とする。その3つというのが、「マーケティング」「保守・運用、サービス向上」そして「リスク管理」であり、こうした分野に対し、これまでのDWHやBIといったデータの活用の仕方から、さらにセンサなどによる画像や音声データなど、現在増えてきているデータを活用できないか、というニーズが出てきており、それに対応する分析技術が求められるようになってきたとする。
今回提供される3つのサービスは「こうした大量のデータをどうやって活用していけば良いのかわからない。もしくは目的はわかっているが、それを活用するためのシステムを作る負荷やコストといったことを不安視する顧客に向けて提供するもので、そうしたコストを抑えつつデータを活用したサービスを使いたいというニーズに対応するもの」とする。また、併せて同社が2012年7月よりスタートした「ディスカバリープログラム」をよりスピーディに提供するために、データ分析検証環境の強化も図っている。
「NECには世界トップクラスの分析エンジンが5つ(インバリアント分析、顔画像解析、行動分析、異種混合学習、テキスト含意認識)ある。これまでも多くの企業がビッグデータの収集・蓄積を行おうという趣旨でのサービス提供を行ってきているが、我々は、さらにそれを分析、検証を行い、その中で活用できるものを見つけ出し、クラウドサービスとして提供を行うことがポイント」と高度な分析分析技術をベースにしたサービスであることを強調し、「これにより7月の開始当初はデータも分析検証期間が3カ月程度かかっていたものを、最大で50%短縮することが可能になる」とした。
第1弾の3種類の検証サービスの中で顔認証技術活用マーケティングサービスは即日サービスの提供を開始しているが、不審者監視セキュリティサービスは2013年1月末より、テレマティクスサービスは2013年3月末からのサービス提供を予定している。
顔認証技術活用マーケティングサービスは、文字通り同社の顔認識技術を用いて、店舗などに設置されているカメラに映った人物の年齢や性別を推定し、来店日時と合わせて記憶。リピート数なども含めて、どういった年代のどういった人物が何時頃来店しており、それがPOSの売り上げデータをどう結びついているのか、といった分析が可能なサービス。
また、不審者監視セキュリティサービスは同じく顔認識技術を用いたものだが、こちらは店舗やイベント会場、入国審査などに設置されたカメラを活用して、特定人物の顔情報をデータベース上の画像と比較し、特長や年代、メガネやマスクの着用有無などを判別し、要注意人物や不審者の特定などを実現しようというもの。操作はタブレットPC(NEC以外のものでも可)で操作が可能で、特定人物などが来店した際などはタブレット上に、その旨を提示することなども可能だ。
そして、テレマティクスサービスは自動車から位置情報やエンジン状態、走行データといった車両情報などを集めて、安全運転支援やその地域特有の情報配信などを行おうというもの。例えばマーケティング用途に用いたいという場合、特定エリアに侵入した自動車にのみクーポン案内を発信したりすることができるようになる。また、そうした場合でも、運転中に突然、そういったアナウンスがあるのではなく、赤信号で一時停止した時に配信するといった設定も可能だ。
なお、同社ではビッグデータ事業に関して継続した強化を行っていくとしており、「我々が誇る分析エンジンを顧客にフルに活用してもらうことで、データ分析の検証などを提供し、顧客のさらなる成長を支援したい」と意気込みを語っている。