日立アドバンストデジタル(日立AD)は、家屋などの基礎・土台や各種配管の損傷などの点検作業を遠隔操作でサポートする「点検支援ロボット」を開発し、受注を開始したことを発表した。
家屋の床下など狭く暗い環境での建築基礎・土台や配管設備の点検作業は、作業者にとって肉体的にも精神的にも負担が大きく、家屋のオーナーに損傷箇所などをリアルに確認してもらうことなどは困難であった。同ロボットは、千葉工業大学 未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長が技術的な支援を行う形で開発されたもので、不整地走行のクローラー装置に点検用カメラを搭載し、作業者が床下に潜り込む必要なく、遠隔操作により、家屋床下の基礎・土台や各種配管の損傷状況を動画や静止画でモニターに表示し、必要な画像を記録するというもの。
特にクローラー装置においては、シートの巻き込みや車輪の空転などで円滑な動作が難しかった「防湿シート」が敷設された家屋の床下でもシートを巻き込むことなく、スムーズな走行・旋回動作を実現しており、さまざまな床下環境の点検作業に対応することが可能だという。また、操作系は同社が1996年より販売し、累計1500台以上の納入実績を有する高所点検記録装置のものを継承しているという。
防湿シート上のスムーズな走行・旋回動作のほかにも"150mm程度の段差を安定した乗り降り"や"操縦ミスによる転倒の回避"、"階段昇降"なども可能となっており、これらを特長を活用することで、床下点検以外用途への展開も計画しているという。また、今後は多様なロボット応用技術を活用したエンジニアリングへの展開も進めていく方針とする。
なお、同ロボットは、ハウスメーカーのほかに配管設備などの施工会社、建物管理会社などを主な対象として、販売を展開していく計画。価格はオープンで、標準的な納期は3カ月、2012年度で100台の販売を目指すとしている。