Linear Technologyは10月31日、電気自動車や住宅用蓄電池など向け高電圧バッテリモニタ「LTC6804」ならびに同製品のコンパ二オンチップとなるisoSPIトランシーバ「LTC6820」を発表した。

LTC6804は、最大4.2Vで直接接続されたバッテリセルを最大12個まで、16ビットの分解能と0.04%を超す精度で測定することができる。また、この精度は、電圧リファレンス構造を踏襲したサブサーフェースツェナーの電圧リファレンスにより、温度・動作条件の全範囲のほか、年単位で維持することが可能だという。

6つの動作モードが用意されており、計測の速度、分解能ならびに内蔵の3次ノイズ・フィルタのローパス応答を最適化することができ、最速モードでは、すべてのセルを290μs以内に測定することが可能となる。

また、独自の「2線isoSPIインタフェース」により、複数のLTC6804を接続し、同時に動作させることが可能であり、ツイストペアケーブルで最大1Mbpsの高RFノイズ耐性と最長100mのケーブル長を実現することが可能になるという。通信方法は、複数のデバイスをデイジーチェーン接続し、1本の接続ラインでホストプロセッサとすべてのデバイスを接続する「LTC6804-1」と、ホストプロセッサに対して複数のデバイスを並列接続し、各デバイスを個々にアドレス指定する「LTC6804-2」の2種類が用意されている。

一方のLTC6820は、isoSPIに対応していないコントローラの前段に設置することで、SPIの双方向伝送を可能とするもの。SPIデータはLTC6820によって差動信号にコード化されるため、ツイストペアケーブルを使用すれば、シンプルで安価なイーサネット・トランスを使っても信頼性の高いデータ伝送が可能になるという。

なお、2製品ともにすでにサンプル出荷を開始しており、LTC6802の1000個時の参考価格は10.95ドルで2013年1月の量産出荷を予定している。また、LTC6820の1000個受注時の参考単価は2.29ドルとなっている。

左がLTC6802を搭載したボード。中央がLTC6820を搭載したボードで、後段のSPIコントローラとの間に入ることで、イーサネットケーブルでのデータのやり取りを可能としている