2010年3月のサービス開始から急速に利用者数を増やしてきたPinterest(ピンタレスト)が、今年9月、月間ユニークビジター数2530万人に達し、アメリカで訪問者数の多いウェブサイトトップ50に、初めてランクインしました。

アメリカではインターネットを利用する女性の5人に1人が利用し、Facebook、Twitterに次ぐ第三のSNSとなったPinterest(ピンタレスト)の、今を知るトピックスを紹介します!

参照:comScore Media Metrix Ranks Top 50 U.S. Web Properties for September 2012
http://bit.ly/QOMWZk

こんにちは、SMMLabの藤田です。

アメリカではここ1年で約21倍にもアクセス数を伸ばし続けているPinterest(ピンタレスト)ですが、日本では5月に楽天が資本参入を発表し、日本語対応も開始されましたが、期待されたほど普及が進まず、注目度と言う点では一時期の盛り上がりが落ち着いてきてしまっている感が否めません。

ただ、8月の招待制廃止でオープン化が進むPinteres(ピンタレスト)が、世界的には今後さらなる成長が期待されるサービスであることには間違いありません。そこで、現在のPinterest(ピンタレスト)の状況をキャッチアップするためのトピックスを集めてみました。

必要以上に“自分”を出さなくていい、インタレストグラフの心地よさが人気?

今、アメリカでは以下の5点がPinterestの人気の理由として考えられています。

・画像による直感的な右脳コミュニケーション ・「モノ」にフォーカスした興味・関心ベースのつながり ・「人」とつながらなくても一人で楽しむことが出来る ・必要以上に“自分”を出す必要がない ・即時性が問われないのでマイペースが保てる

オープングラフの進化によって、自分に関する情報が過度に共有される「オーバーシェア」が取り沙汰され、自分の日常や思考をテキスト化することの煩わしさから、SNS疲れを感じるユーザーが増えていると言われるアメリカでは、Pinterestのゆるくシンプルな世界に居心地のよさを感じる人が増えているようです。

一方日本ではFacebookがようやく一般的に普及してきた段階であり、これまで体験したことの無かった実名でのコミュニケーションに、「繋がる」楽しさを発見している段階のユーザーがまだ多いため、Pinterestはシンプル過ぎるのかもしれません。日本で話題になり始めたころに登録したユーザーで「どこが楽しいのか分からなかった」「すぐに飽きてしまった」という人もいるようです。

ビジュアルのインパクトで「過去」や「ニッチ」なコンテンツが復活?!

ユーザーにコンテンツ提出を求めるフォトコン、コメント、アンケート等はユーザー参加ハードルが高くなります。今回はO2O施策として、より多く参加者を集め店舗に誘導することが目的ですので、簡単にクリックで参加ができる人気投票が選択されました。もちろん店舗に誘導するためには、インセンティブはもれなく配布が大切です。参加ハードルを下げ、またプレゼントが必ずもらえるという相乗効果により、キャンペーン閲覧ユーザーの内、約4割が実際にキャンペーン参加に至っています。

http://pinterest.com/wsj/wsj-tech-gadgets/

読者に記事が読みたくなるようなインパクトのある画像をPinterestで共有することで、過去記事として埋もれてしまったり、時流にあわなかったコンテンツに再び注目を集めることに成功している、雑誌や新聞が増えているそうです。

人々にRePinされることで上位に掲載されるPinterestでは、リアルタイムであることよりもインタレストであることの方が価値が高く、ありふれたものよりも珍しいものの方が注目を集めます。自社が既に持っているビジュアルコンテンツを活かすヒントとして、出版社や新聞社のボードをチェックしてみて下さい。

参考記事:米国の有力新聞、一斉にピンタレストでビジュアル情報発信を
http://zen.seesaa.net/article/261840856.html

Pinterestでは「Power Pinner」と呼ばれる個人ユーザーの影響力が強くなっている

http://pinterest.userlocal.jp/

日本でもPinterestに公式アカウントを開設する企業が増えてきましたが、FacebookやTwitterに比べてフォロワーが意外と少ないと思いませんか? これは日本の企業だからではなく、Pintrestの世界では、より感覚的な画像を集めて共有する個人ユーザーが、有名企業やセレブよりも優れたキュレーターとして注目されています。

http://www.zoomsphere.com/charts/pinterest/all/profiles

こうした個人ユーザーは「Power Pinner」と呼ばれ、大きな影響力を持ち始めていることから、彼らにPinしてもらうためにパートナーシップを結ぶ企業も出てきているそうです。一昔前のブロガーマーケティングに似た取り組みも始まっています。

また、企業のアカウントが掲載した画像を個人的に影響力を持つスタッフがPinすることで拡散を促進するなど、「個人」ユーザーとの協力が企業のPinterest活用のポイントになっているようです。

オンラインショップや情報サイトに「Pin」ボタンが増殖中

Bizrate InsightsがアメリカとカナダのpinterestとFacebookのユーザーを対象に「サービスを利用する理由」を調査したところ、「買物のヒントが欲しい」と答えたのはFacebookでは17%でしたが、pinterestでは70%にのぼりました。また、「好きなものと出会い、情報を収集するのに役立つ」と答えた人はFacebookでは21%だったのに対し、pinterestでは67%と、ソーシャルコマースへの影響力が高いという結果が出ています。

参照:Online Consumer Pulse Pinterest vs. Facebook: Which Social Sharing Site Wins at Shopping Engagement?
http://bit.ly/WTQfTX

Pinterestでは、他のユーザーに共有(RePin)された画像であっても、クリックするとその画像が掲載された元のリンク先に飛ぶため、元のサイトへのアクセスが増えます。Pinterestからのアクセスが大幅に増えたというオンラインショップも増加しており、今年1月~8月のトラフィック誘導は、Yahoo!検索を抜いて、GoogleやFacebookに次ぐ4位となりました。

こうした新たな流入経路としての期待から、商品画像をPinterestのボードに掲載するための「Pin」ボタンを設置するオンラインショップや情報サイトが急増しています。

また、ビジュアルの直感でユーザーに自分がほしいものを見つけるきっかけを与えることができるため、Pinterestが「ウィンドウショッピングをオンライン化した」と言われるように、新たな購買機会の創出に寄与していると考えられているようです。

EコマースでのPinterest活用に新アイディア続々!

徹底的な顧客満足を追求することで有名な通販靴店「ザッポス」は、同社の顧客が自分が買ったものをツイッターやフェイスブックで共有するより、Pinterestにある自分のボードに公開する頻度が高いことに注目し、Pinterestのユーザーネームを入れると、そのユーザーが過去にピンした品物のデータを手がかりに作成された、お勧め商品のリストが示される「PinPointing」というサービスを始めました。

http://pinpointing.apps.zappos.com/

参考記事:ザッポスの新機能に見る、ピンタレスト収益化への道
http://wired.jp/2012/09/03/pinterest/

また、Walmartが新たに開発した「Polaris」というEコマース検索エンジンでは、Facebookでの「いいね」に加えて、Pinterestでのピンが、検索結果に反映されるようになっています。

参考記事:In Battle With Amazon, Walmart Unveils Polaris, A Semantic Search Engine For Products
http://tcrn.ch/TOIGY7

iPadアプリ、Androidアプリの提供も開始し、モバイルにも力を入れ始めているPinterestは、スマートフォン、タブレットの普及と通信回線品質、速度の向上によって、ユーザーの購買活動への影響がますます大きくなることが予想されます。Pinterestの高いバイラル性とトラフィック誘導力をEコマースに活かそうとする取り組みは、今後ますます増えるのではないでしょうか?

日本では企業の公式アカウント開設がニュースリリースとして取り上げられるなど、広報的な価値が先行しているPinterestですが、アメリカでは実践的なマーケティング活用が進んでいるようですね。日本語対応が完了すると日本でも一気に普及が加速するかもしれませんので、SMMLabでは引き続きPinterestに注目していきたいと思います。

あなたはPinterestを利用していますか?

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