クラウディアンは10月29日、都内で会見を開き、同社が提供するクラウドストレージ製品「Cloudian」に関する説明ならびに、国内外での採用事例などに関する説明を行った。

同社は2001年7月にGemini Technologiesとして創業。初期は携帯電話向けにマルチメディア メッセージング サービスセンター(MMSC)やコンサルティングサービスを提供してきたが、その後、Webメール対応ソリューションサービスの提供などに提供技術の領域を拡大し、Gooメールなどに採用されているという。そして、そうしたメールを蓄えるストレージがビッグデータ化してきた現在、それをストレージできるクラウドソリューションを開発する方向にシフト。2011年3月にCloudianの試験版を、そして同7月から商用版をリリース。2012年8月に、社名も製品名をより知ってもらうことを目的に製品名と同じクラウディアンへと変更した。

クラウディアン 代表取締役社長の太田洋氏

同社の提供するCloudianのAmazon S3互換のクラウドストレージ構築ソリューションで、「我々はパブリッククラウドストレージのシェアNo1であるAmazon S3に完全準拠することにこだわりを持っている。すでに2012年6月にS3で保存するオブジェクトは1兆個を超し、S3を中心に開発されるアプリケーションやツールも増大を続けており、エコシステムが形成されている」(クラウディアン 代表取締役社長の太田洋氏)とS3への互換性を確保する意義を語る。

互換性を確保することで、アプリケーションやツールなどを相互利用することがえきるようになり、クラウドストレージ間での相互運用が可能になる。「我々も事業者が新たに独自のインタフェースを開発するのではなく、S3を活用した方が相互運用をしやすいと考えている。また、ビッグデータへの対応とストレージの仮想化としてのNoSQL。経済的なコモデティのハードウェアを採用することで、ストレージの仮想化を低コストで実現できるようになるほか、HDDを多数、並列展開していくことで、1つの大きなストレージとして見せかけつつも、データの担保として別サーバにデータをコピーすることもできる」と将来の仮想ストレージの用途に対応していることを強調する。

例えば、同じデータセンター内にデータの複製を作ることも、別のデータセンターに複製データを作ることも可能であり、これにより、もしローカルのデータセンターが何らかの災害に遭遇しても、リモート側からサービスを継続することが可能になるという。また、書き込み速度についても、ローカルでリアルタイムに近い速度を実現しつつ、複製側のリモートは後で処理する、といった方法なども採用可能だという。

さらに、パブリッククラウドとプライベートクラウドのハイブリット接続をCloudianを介して実現することも可能。既存のストレージはNFSやCIPSなどのプロトコルが一般的に用いているが、それを変換するS3に対応させたり、暗号化してパブリッククラウドに安全に移行する技術などを活用することで実現できるようになっているとする。

なお、Cloudianは国内ではニフティが2011年9月より、そしてNTTコミュニケーションズが「BizホスティングCloud Object Strage」としてサービスインしている。また、海外でも米国のホスティングサービス+クラウドサービスプロバイダーのConstant Hostingが2012年5月よりサービスインしているほか、欧州のクラウドサービスプロバイダーであるLuna Cloudが同じく2012年5月よりサービスインを果たしているという。

NoSQLの活用がビッグデータ時代のストレージに変革をもたらすというのが同社の主張

汎用的なハードウェアを活用することでコストの低減とスケーラビリティの確保の両立を可能とした

安価な分散ストレージの実現により、ディザスターリカバリーなどへの対策も容易に行うことが可能となる。また、こうした部分でもS3にない付加価値を提供することが可能になると同社では説明する

パブリックでもプライベートでもハイブリッドでも、Cloudianを活用することで、データの設置場所などを決めることが可能となるため、セキュアな環境の構築などが可能になるという