日立製作所(以下、日立)は、仮想サーバ環境や大規模データの分散処理を行うHadoop環境などを提供するためのクラウド基盤を構築する「日立クラウド基盤導入ソリューションPowered by Apache CloudStack」を開発し、第一弾として大学や研究機関などに向け11月1日から提供を開始すると発表した。

「日立クラウド基盤導入ソリューション Powered by Apache CloudStack」仮想サーバ利用イメージ

大学や研究機関は、本ソリューションを活用しクラウド基盤を導入することで、仮想サーバ環境や複数のサーバをまとめたクラスタパッケージによるMPI環境、Hadoopなどの分散処理環境、さらにはオンラインストレージやブログなどを、クラウドサービスとして学生や研究者へオンデマンドで提供することが可能になる。

クラウドサービスを利用したい学生や研究者は、ポータル画面から利用申請を行うことで、必要とする環境を設定し利用できる。これにより、利用者自身でサーバやストレージを購入または借用し、設置・運用するのに比べ、短時間かつ低コストで必要な環境を用意できるほか、その後の運用の手間を省くことができる。

さらに、大学や研究機関の情報システム部門は、これまで大学や研究機関内に個々に設置されていたサーバやストレージをクラウド基盤へ移行することで、ITリソースの一元管理が可能となり、省電力化や管理・運用にかかる時間やコストの低減、ITガバナンスの向上やセキュリティの強化が実現できるという。

日立は、「Apache CloudStack」の標準機能に加え、Shibboleth(シボレス)認証に対応することで組織内の他システムと連携したシングルサインオンを可能とした。

また、Hadoopなど分散処理ソフトウェアを仮想サーバ環境において稼働させる際に課題となっていたストレージへの負荷の平準化などを行う処理機能を追加し、性能劣化を解消している。

なお、本ソリューションは九州大学(以下、九大)で先行利用されている。九大は本ソリューションを活用してクラウド基盤「キャンパスクラウド」を構築し、10月から学生や研究者に向けてサービスの提供を開始。これにより、九大では、約200名の研究者に対しITリソースを最短5分程度で付与することが可能となり、従来のITリソースの限界にとらわれない新たな研究開発が行われることが期待されている。また、クラウド基盤とShibboleth認証を連携することで、他大学の認証基盤とも連携することが可能となるため、将来的に仮想サーバ資源を複数の大学間で共有することも検討している。