ルネサス エレクトロニクスは10月29日、同社の2013年3月期中間期の決算概要を発表した。
2012年4月から9月までの6カ月の業績は、売上高が前年同期比9.1%減の4093億8400万円、営業損益は前年同期の292億300万円の損失から、233億1000万円の損失に、経常損益は同333億3500万円の損失から244億4300万円の損失へと、売上増に伴う利益増、研究開発費の効率化、販売費および一般管理費の抑制などにより改善が進んだものの、純損益は同420億1100万円の損失から国内の早期退職優遇制度に伴う特別損失約840億円を計上したことなどにより1150億8100万円の損失(内第2四半期の損失は約943億円)へと赤字幅が拡大した。
また、第2四半期(2012年7-9月期)の半導体売上高は、第1四半期に発生した情報システム統合の影響が解消し、大型カスタム案件が牽引したことから、前四半期比22%増の2053億円となった。事業分野別では、マイコン分野については、汎用マイコンにおいて、民生、産業など全分野で売り上げが伸びた結果、前四半期比で15%強の売上増となった。また、自動車用マイコンは、第1四半期から引き続き堅調に推移し、前四半期比で横ばいとなったという。
アナログ&パワー半導体分野については、アナログIC/ディスクリートにおいて、自動車や民生向けを中心に売上が伸び、パワーデバイスにおいて、自動車やPC周辺向けを中心に堅調に推移し、双方で前四半期比増収となった。また、表示ドライバICにおいても、スマートフォン向け中小型パネル用が急増し、前四半期比で約40%の売上増となっった。
そしてSoC分野については、アミューズメント向けが大きく牽引し、民生向けSoCが前四半期比で約180%の売上増となり、SoC全体でも前四半期比で約60%の売上増となった。
また同社は併せて構造改革の推進状況と財務基盤の強化に向けた取り組みについても発表を行っている。構造改革に関しては、すでに人員削減として7446名の早期退職の実施、ならびにルネサスハイコンポーネンツの譲渡などが発表されており、人員削減により年間約530億円の人件費の削減効果が見込まれるとするほか、ルネサスハイコンポーネンツのアオイ電子への譲渡により、国内後工程拠点は8拠点となり、今後の構造改革のスケジュールに従って最終的に2拠点に集約することに変更はないとする(前工程は9拠点14ラインから7拠点9ラインへと集約される予定)。
一方の財務基盤の強化としては、ステップ1として構造対策推進に必要な原資として、10月1日付で、主要株主3社より、計495億円の資金支援及び保証金を受領したほか、同日付で、主力取引行4行からの475億円のシンジケートローンを実行。これにより、計970億円の新規資金を確保したとする。
ステップ2としては、短期借入金の長期化として、9月28日付で、主力取引行をアレンジャーとしたシンジケートローン契約を締結。10月1日までに、計1,611億円の短期借入金を長期借入金として借り換え、財務基盤のさらなる安定化を実現したとする。
そしてステップ3として、営業キャッシュ・フロー改善として、得られた970億円の新規資金を構造対策費用に充当し、手元流動性を維持しつつ、構造対策を着実に実行することで、2014年度末までに45%の固定費削減を実現し、営業キャッシュ・フロー改善により、財務基盤を強化していくとするほか、フリー・キャッシュ・フローの黒字化により、財務基盤の改善を図り、注力事業にリソースを集中していくとした。
なお、同社では通期の業績見通しについて、8月2日に公表した予測から変更はないとしており、売上高8680億円、営業利益210億円、経常利益100億円、純損失1500億円を目指すとしている。