SAPジャパンは10月23日、小売業界など消費者との直接の接点を持つ業種を対象にリアルタイム・ワン・トゥ・ワン・マーケティングを実現するソリューション「SAP Precision Retailing(エスエーピー・プレシジョン・リテーリング)」の提供を開始すると発表した。

本ソリューションは、超高速のインメモリデータベースであるSAP HANAを基盤に、スマホアプリ、ビジネスインテリジェンス、リアルタイムオファー管理などの最新の技術を組み合わせ、クラウドで提供する。大量データを瞬時に処理するSAP HANAを採用したことで、数百万人の買物客に対して、数千のオファーの中から最適なものをリアルタイムに選ぶことができ、消費者にとっては、より個人のニーズや好みに即したオファーを受けることができる。

小売業者は、過去履歴に基づくタイムリーなオファーを出すことにより、アップセル、クロスセル、PB(プライベートブランド)への変更などを通じ、値引きに頼らない販促や、客単価の増加を実現することができる。

具体的には「SAP Precision Retailing」を利用する小売業者は、まず買物客にスマートフォンアプリケーション「買い物リスト」を配布する。買物客は今日買おうとしている品目を「買い物リスト」に入力する。消費者が来店すると、リストにある品目に対し、その買物客の購買履歴に基づく傾向や嗜好と、品目ごとの売れ行きの動向、併売実績、在庫状況、および時刻などの情報を瞬時に照らし合わせ、その消費者に対して最も有効と思われるオファー(レコメンド)を十数個提示する。

たとえば「毎週買っているヨーグルトがリストから漏れていればリマインド(購買履歴)」、「魚をよく買っている人に新鮮なサンマを(傾向分析)」、「カレールーを買った人には福神漬けを10ポイント付きで(併売)」、「先週あるフランスワインを買った人には翌週はこのチリワインを(類似商品)」など。

本ソリューションは、SAPと11,000店舗・売上約3兆円の大手小売業、世界的な化粧品会社の3社の共同開発から生まれた。両社ではすでに実店舗でのパイロットを実施しており、クーポン利用率が従来比8倍、客単価16%増など、確実な成果が出つつある。さらに。小売業・消費財メーカーに限らず、消費者との接点を持つあらゆる業種に適用が可能であり、交通、金融、カード、テレコム、アパレル、自動車、ガソリンスタンドなどの業界の企業がすでに興味を示している。