東京エレクトロン デバイス(TED)は10月22日、生活住環境エネルギーを利用した環境発電の応用製品開発に有効なソリューションを発表した。

同社では、電池駆動機器の1次電池交換レスを実現する多種多様な環境発電の潜在ニーズに対し、環境発電の電源システム設計開発に必要な発電/蓄電評価と機器の消費電力バランスの評価を支援するため、従来の電子部品単体の販売だけではなく、ユーザーが容易に実機評価できる環境の提供を継続的に行ってきた。

今回、新たに環境発電素子とユーザーのアプリケーションの初期評価が容易に可能な「環境発電アプリケーション開発ボード」と、環境発電に求められる超低消費電力CPUの評価ボード「環境発電向けCPUリファレンスボード」の2種類のボードを開発した。

環境発電アプリケーション開発ボード「TD-BD-EH3VCTL」は、7月10日発表の試作品の販売開始に伴い、予約受付を開始している。同製品は、Linear Technologyの環境発電ICを使用しており、太陽光・熱・振動からの発電素子の接続・評価が可能となっている。また、Infinite Power Solutions(IPS)の0.17mm厚で、リーク電流が低く、繰り返しの充放電に強い全固体リチウムイオンバッテリを搭載しているため、発電された電力をバッテリへ充電することもできる。出力には、Linearの低自己消費電流リニアレギュレータを搭載し、MPUや無線、センサなどを接続することによりアプリケーションの初期検討を容易に開始することができる。

環境発電アプリケーション開発ボード「TD-BD-EH3VCTL」

「TD-BD-EH3VCTL」の製品構成図

「環境発電向けCPUリファレンスボード」は、環境発電に最適なFreescale Semiconductorの低消費電力ミクスドシグナルマイコン「Kinetis K10」とIPSの全固体リチウムイオンバッテリ、充電制御アナログICと低自己消費電流リニアレギュレータを搭載しているため、バッテリー交換レスを想定した低消費電力アプリケーションの開発・評価ができる。

ARM Cortex-M4コア内蔵の「Kinetis K10」およびデバッグ用マイコンが搭載されているため、PCに接続するだけでプログラムのフラッシュへの書き込みとデバッグが可能。また、無償の統合開発環境として、Freescaleの開発ツール「CodeWarrior」、IAR Systemsの「EWARM」、ARMの「KEIL MDK開発環境」をダウンロードすれば、追加費用なく新たなプログラムの開発や検証をオンボードで行うことができる。必要最低限の回路のみを実装しているため、容易にCPUの消費電流の計測ができる。

また、同梱のAvago Technologyの高輝度LEDを16×8のマトリックス構成にした低消費電力LEDボードでの評価もできる。さらに、FreescaleのTower Systemに準拠しているため各種拡張モジュールを同時に評価することもでき、多様な評価を実現する。

「環境発電向けCPUリファレンスボード」

Freescaleの「Tower System(別売)」への搭載イメージ

「環境発電向けCPUリファレンスボード」の製品構成図

具体的な開発対象分野としては、環境発電の特徴である電池交換レス・配線レスへの応用が様々な分野で期待されており、児童や高齢者を対象とした見守り/テレヘルスケア、交通/物流/入退室管理や畜産業向けの移動体無線モニタ、ビル/事業所/住設関連の省エネ無線監視機器(BEMS/HEMS)、水位/温度/湿度を計測する環境モニタ用中継機器、プラントや発電所などの産業用計装システムの無線センサユニット、メガソーラー発電や風力発電などの各ユニットの動作モニタリング、電力/ガス/水道/駐車場/などの無線メーター機器などが想定される。

なお、価格は環境発電アプリケーション開発ボードの「TD-BD-EH3VCTL」が4万9800円。すでに予約受付を開始している。出荷開始は2012年11月末の予定。環境発電向けCPUリファレンスボードは枚数限定の試作品のため、一般販売は行わないが、2012年10月22日~23日に開催されるFreescale主催の「Freescale Technology Forum 2012(FTF Japan 2012)」でモニターに協力できるユーザー40名を先着で募集しているという。モニター期間は1カ月。