日立ハイテクノロジーズ(日立ハイテク)と日立製作所は10月19日、名札型のセンサーを使って集めた従業員や顧客などの行動データとPOSデータなどの業績データから、企業業績の向上策を発見するビッグデータの解析技術を開発したと発表した。
同技術は、顧客、従業員の行動や業績に関するビッグデータを用いて企業の業績向上策の発見を支援する。
同技術を用いることで、行動や業績に関わるビッグデータの中から、企業業績に関係する6,000個以上の指標を自動生成することができ、その指標から、企業業績の項目に関わる重要な要因を自動的に見つけ出し、それらの関係を表す方程式を発見することが可能だという。
改善したい項目を分析エンジンに入力すると、それに影響のある要因と影響の度合い、根拠が表示され、これにより、施策の実施による業績向上の効果を知ることができるという。
同社では、同技術の実証実験として、広さ約900坪のホームセンターの小売店舗において、解析技術を用いて見出した施策による業績向上効果を実証するための実験を、約1カ月半の期間で実施。店舗で勤務する従業員とサンプル調査対象の顧客(来店者)304人の位置、接客等の活動データを「ビジネス顕微鏡」を用いて10日間にわたり取得した。
データは時刻情報と結びついており、来店者がいつどこで立ち止まり、接客を受け、何を購入し、従業員はその間にどこで業務を行っていたかなどの情報が記録されている。この行動データとPOSデータを分析エンジンに入力し、売上げに関連する6,000個を超える指標を自動生成。その指標から顧客単価向上の方程式を出力すると、従業員の配置が顧客単価に強く影響していることがわかったという。
店内には、従業員が存在していると顧客単価が増加する高感度なスポットと、従業員が存在していても顧客単価にはほとんど影響のない低感度なスポットが存在し、この結果に基づき、従業員を高感度スポットへ重点的に配置したところ、従業員の高感度スポットでの滞在時間は1.7倍に増え、その結果顧客単価は15%向上したという。これにより、今回開発した解析技術が業績改善に有効であることを確認した。
日立製作所では、2013年度からこれら技術を活用したソリューションを企業個別に展開していく予定だという。