インテージと日立製作所は10月18日、インテージの調査ノウハウと、日立の脳機能計測技術である光トポグラフィ技術を組み合わせた新しいマーケティングリサーチスキームを共同開発し、11月6日からインテージのサービスとして提供を開始することを発表した。

これまでのリサーチの課題として、人間は、感覚や印象をその瞬間に的確に言葉で表せない、話のつじつまが合うように合理化を行うなどの傾向があるとされ、従来からの「言葉を介する」調査では捕捉が難しい部分にアプローチできる手法の開発が求められていた。

また近年、脳活動をはじめとしたリアルタイムに計測できる生体反応をリサーチへ応用することに対する期待の高まりに対し、両社は検討を重ねた結果、これまでの課題に対応した新しいマーケティングリサーチのサービスを提供することを決めたという。

日立は、これまで微弱な近赤外光を頭皮上から照射することで、脳内の血流変化を計測し画像化する技術である光トポグラフィ法の研究・製品開発を行ってきたが、近年、測定結果を、脳科学だけではなく、認知学や心理学などのさまざまな分野で活用する動きが広まっており、メーカーの商品開発などへの活用も進めてきた。

一方、インテージは、言葉を介する調査の限界を超えるため、マーケティングリサーチの調査ノウハウに加え、視線の動きなどをマーケティングに活用する取り組みを進めてきており、各種脳活動計測技術の採用検討を進めてきていた。

今回、インテージより提供が行われる新たなリサーチサービスでは、日立が開発したウェアラブル光トポグラフィを用いることで、日常に近い環境でも脳活動を計測することを可能とし、その活動に対して脳科学の知見に基づいた解釈を行うことが可能になる。具体的には、ウェアラブル光トポグラフィを対象者に装着し、テレビや新聞、雑誌、ポスターの広告などを見ながら、脳内血流の変化を計測し、活動部位の特定を図り、そこで特定された脳の活動部位と経過時間に伴う変化の解析を実施し、インテージが同スキームに最適化したフローに基づいたインタビューなどを行い、アナリストがこれらを総合的に分析し、マーケティングに役立つ調査結果として提供を行うという。

インテージのノウハウと日立の技術を組み合わせることで、新たなリサーチが可能になるという