ルネサス エレクトロニクスは10月18日、産業、OA、民生、ネットワーク機器向けに、マイコンやその周辺デバイスへ供給する電力の降圧や待機時電力の供給制御などを行う電源IC「RAA23021X」シリーズ5品種を発表した。
近年、機器の小型化や省電力化に伴い、マイコン用電源システムにも小型化や低消費電力化が求められている。しかし、単出力の電源ICや電子部品を用いて構成する場合が多く、小型化が困難だった。また、消費電力においては、マイコンが待機している時の電力を抑えることが効果的だが、マイコンの多くが必要な機能のみを動作させる低消費電力モードを内蔵しているものの、電源システムではそのような対応を行っているケースはあまりなかった。そこで、マイコン電源システムの部品点数と待機時消費電力の削減ができる同製品を製品化したという。
特徴は主に4つ。1つ目は、スイッチングレギュレータとLDOの1パッケージ化などによる電源システムの小型化、低コスト化だ。今回、降圧回路に必要な降圧スイッチングレギュレータとLDO、および出力パワーMOSFET、位相補償部品、放電回路を1チップ化した。これにより、マイコン用電源システムの部品点数を従来比で半減でき、システムのコスト低減および小型化を図った。
2つ目は、超低消費モード機能の内蔵により、待機時の低消費電力化。消費電流を25μAに低減する低消費モード機能により、マイコンとのシステムトータルの待機時消費電力を低減できる。例えば、同社のマイコン「RX630」のディープソフトウェアスタンバイモード時に同製品を超低消費電力モードで動作させた場合、システム全体の消費電力を90%以上削減できる。
3つ目は、シーケンサ機能および各種保護機能の内蔵による使い勝手の向上。システムに使用されるデバイスの電源投入シーケンスの仕様に対応させるため、同製品では3パターンのシーケンスを端子設定により簡単に選択できる。加えて、過電流保護、過熱保護や低電圧誤動作防止機能などの各種保護機能を内蔵しており、少ない外付け部品で信頼性の高い電源システムを簡単に構築することができる。
4つ目は、充実した開発支援ツールを提供。ルネサスでは、システムの電源設計の開発支援のため、新製品単体の評価ボードだけでなく、マイコンと新製品を搭載した評価ボードの提供や、回路図、推奨部品、ボードパターンなどの情報をWebサイトで提供することで、マイコンと同製品を組み合わせた事前評価や、ボードパターンなどの情報を簡単に入手することを可能とし、評価・開発期間の短縮を可能とするとしている。提供開始は10月末の予定。
なお、「RAA23021Xシリーズ」は、出力電圧が1.8V/2.7V/3.0V/3.3V固定の4品種と出力電圧可変品の合計5品種を揃えている。マイコンだけでなくその周辺デバイスにも電源供給できるようスイッチングレギュレータの最大出力電流は3A、LDOの最大出力電流は0.5Aとなっている。パッケージは、高放熱タイプの20ピンHTSSOPを採用しており、パッケージ裏面の大半を占めるダイパッドにより、放熱性の高い実装が可能となっている。サンプル価格は75円。すでにサンプル出荷を開始している。