Analog Devices(ADI)は、高速なRF(無線周波数)用途向けD/Aコンバータ(DAC)として14ビット品「AD9129」および11ビット品「AD9119」を発表した。
2製品ともに、最高2.8GSpsまでのデータレートに対応するシングルチャネルDACで、複数チャネルの信号スペクトル(マルチキャリア)を一括合成したり、複雑な変調信号を生成したりすることが可能であるため、高速・高周波信号アプリケーションのシステム設計の簡素化、機器全体の消費電力と部品数の低減、コストダウンなどに寄与すると同社では説明している。
また、高いダイナミック性能を有し、異なる周波数チャネル間における複数のマルチキャリアの信号も1つのコンバータで生成することができるほか、切り替え可能な2×インターポレータを内蔵し、DACの更新レートを実質的に2倍に上げることができるため、複雑なフィルタ処理などの外部回路を軽減することが可能。さらに、「Mix-Modeスーパーナイキスト動作」と呼ばれる機能により、第2および第3ナイキストゾーンで高い信号レベルのRFキャリアスペクトルを生成できるため、後段での周波数変換が不要となり、4.2GHzの最高周波数においても、優れたダイナミックレンジが実現可能となる。
「AD9129」は、出力スペクトル全周波数範囲にわたり最小のパワーロスで、直接RF信号を合成できるほか、デュアルエッジクロックでも動作でき、コンバータがMix-Modeかつ2×インターポレーションモードに設定されている場合、更新レートを実効的に5.6GSpsにまで高めることが可能。また、広い帯域幅かつ高ダイナミックレンジの設計になっており、最高4.2GHzまでのマルチキャリアスペクトルの生成ができる。さらに、デバイスの消費電力はDAC最大更新レートの2.8GSps時で、1.1Wとなっている。
加えて、FPGAもしくはASICとのデータインタフェースを簡素化できる、デュアルポートの信号源同期型LVDS(低電圧差動信号伝送方式)インタフェースを内蔵しており、オンチップDLL(ディレイロックループ)により、異なるクロックドメイン間のタイミングを最適化できるほか、SPIから同製品の設定が可能であり、読み出しレジスタでデバイスの状態を監視することもできる。
なお、パッケージは2製品ともに160ピンCSP-BGA。価格は、「AD9129」は鉛フリー対応品が59.00ドル、PbSn品が69.00ドル。「AD9119」は49.00ドル。すでにサンプル出荷を開始しており、量産も11月30日より開始する予定。