独SAPは10月16日、米ラスベガスで開催中の「SAP TechEd 2012」で自社インメモリ技術「HANA」の開発者向けクラウドサービス戦略「SAP HANA Cloud」を発表した。インメモリのクラウドプラットフォームは業界でも新しいとしており、HANA Cloud上に実装した初のアプリケーションとして「SAP NetWeaver Cloud」の一般提供も開始した。
SAP HANA Cloudは、これまでアプライアンスとして提供してきたHANAのプラットフォーム化戦略となる。インメモリは、ディスクではなくシステムのRAMにデータを保持することで高速処理を実現するアプローチで、分析系(OLAP)と更新系(OLTP)の両方を高速化できる。SAPはHANAを2010年より提供している。
HANA Cloudはクラウドプラットフォームサービスで、開発者はこれを利用して、タブレット、スマートフォン、デスクトップなどに向けて高速な分析を活用する拡張性の高いアプリケーションを迅速に開発、実装できるという。
現在、データベースサービスの「SAP HANA DBServices」とアプリ開発プラットフォーム「SAP HANA AppServices」で構成され、同日、それぞれ初の製品として「SAP HANA One」とSAP NetWeaver Cloudの一般提供を発表した。
SAP HANA OneはAmazon Web Services(AWS)上のHANAインスタンスで、瞬時にプロビジョニングができ、実証テストなどを行える。
SAPはこれまでAWS上のHANAインスタンスを無償提供してきたが、SAP HANA Oneは1時間0.99ドル(60.5GB、別途AWSの利用料金が発生する)。SAP NetWeaver Cloudは、Javaベースのクラウドアプリを構築し、オンプレミスや他のクラウドアプリと統合できるサービス。SAPはこれまで90日の期限を設けていたSAP NetWeaver Cloudの開発者ライセンスを、完全に無償とした。