日本HPは9日、同社のクラウド戦略をプレスやアナリスト向けに説明するサミットを本社で開催。今後同社がクラウド事業に注力していく姿勢を明確にするとともに、同社が今年の4月に発表した「HP Converged Cloud」の優位性を強調した。
冒頭、日本HP 代表取締役 社長執行役員 エンタープライズグループ事業統括 小出伸一氏は、同社の事業方針について、「日本HPは、業績も好調で目標も達成しており、成長路線を歩んでいる。ソリューションにおいてもグローバルのHPグループの中で、ベストプラクティスカンパニーという評価をもらっている。HPはテクノロジーカンパニーとして、コアのビジネスに原点回帰しようというのが大きな方針だ。その流れでPC事業を一度リセットしようとしている。そして、有効かつ安全に稼動させるソフトウェアに対しても積極的に投資を行っていき、効率的な運用をサポートするサービス事業も高めていく」と、同社が今後インフラを中心としたコアビジネスに注力していく方針を説明。
そして、クラウド事業については、「お客様の7割は、クラウドのメリットを理解しているが、このうちの7割のお客様はコンプライアンス、セキュリティのほか、ベンダーロックインに懸念を持っている。また、パブリッククラウドなどを利用することで、企業内にさまざまなクラウドが散在している問題もある。本来クラウドは、導入や管理が簡単でコストメリットもあるはずだが、ガバナンスが効かなくなっている現状がある。そこで、HPはクラウドが本格化する前に「HP Converged Cloud」というソリューションをつくり上げた。これまで、レガシーなシステムにおいてはベンダーが1社で占有し、運用も簡単だったが、現在はクラウド化が進み、テクノロジー、管理レベル、セキュリティ、サービスレベルも各社バラバラだ。これらを、オープンで統合されたアーキテクチャで管理し、お客様が期待していたクラウド環境に近づけようようとするのがHP Converged Cloudの狙いだ」と、「HP Converged Cloud」を中核とする同社の「クラウドは散在から統合へ」というクラウド戦略を説明した。
日本HP 執行役員 チーフ・テクノロジー・オフィサー 山口浩直氏は、「HP Converged Cloud」について、「現在はレガシーシステム、プライベートクラウド、マネージドクラウド(1社占有型のパブリッククラウド)、パブリッククラウドがバラバラに動いている。こういったシステムを統一したアーキテクチャ、一貫した管理で統合しようというのが「HP Converged Cloud」のフレームワークだ。そして、オープンなため自由に「Choice(選べる)」、世界第2位のITベンダーとしての「Confidence(安心)」、同一アーテクチャによる「Consistency(すっきり)」という3Cが大きな特徴だ。HP Converged Cloudでは、プライベートクラウド、マネージドクラウド、パブリッククラウドというすべてのクラウド環境で、インフラ、管理、セキュリティを横ぐしで統合したソリューションを提供している。したがって、それぞれのクラウドを適材適所で利用でき、透過的に一元管理できる。また、HPはすべてのクラウドを1社だけで管理できるソリューションを提供している唯一のベンダーだ」と強調した。
そして、エンタープライズ事業を統括する各役員が同社の強みや事業展開を説明。
常務執行役員 エンタープライズグループ事業統括 エンタープライズインフラストラクチャー事業統括の杉原博茂氏は、「我々は4年前からConvergedといっているが、最近は他社さんもConvergedといい始めている。HPはIP基盤に強く、グローバルに対応し、オープンでベンダーロックインしないというのが他社との違いだ。HPはハイパーバイザーをもっていないので、ユーザーはいろいろなセレクションができ、HPはいろいろなハイパーバイザーをマネージメントできる。レッドハットさんやマイクロソフトさんはハードウェアをもっていないが、我々はもっているため、さまざまなISVとの連携できる」と語った。
常務執行役員 HPソフトウェア事業統括 中川一朗氏は、「ユーザーにおいては、クラウド利用が本格化しているが、管理費、セキュリティなど課題も出てきている。これら課題に対して、テスト自動化ツール、マルチベンダー対応の運用自動化ソフト、セキュリティ、ビッグデータなど幅広いポートフォリオをもっている点がHPの強みだ。クラウドの次に来るには自動化で、とくにワークフローの自動化が重要なソリューションになる」と説明。 執行役員 エンタープライズサービス事業統括 エンタープライズサービス 第二営業統括本部長の西尾新一氏は、「ハードウェア、ソフトウェア、コンサルティングなど各事業部を統括して提供できるのがHP ECSの特徴で、世界共通のUIで利用できる。今後は、ECSの機能を拡張し、対象を広げ、幅広いプランの提供する予定だ。今後、パッケージソフトをSaaS型で提供することも考えている。また、Exchange、SharePoint、Lyncなどのサービスも拡張していく。HPはマイクロソフトさんとグローバルで提携しており、お客様には特別条件で提供できる」と説明。
そして、執行役員 エンタープライズグループ事業統括テクノロジーサービス事業統括 テクノロジーコンサルティング統括本部長 有安健二氏は、「我々は、クラウドの構築サービスをやっているが、一気通観のサービス体系、ハイブリックへの対応、オープン化が特徴で、ベンダーのロックになることなく、他社のクラウドサービスも含めた構築支援を行っている。現在、クラウドは第3期の発展段階だ。第1期は5年前のバズワードの時代で、ユーザーもクラウドが何かよくわからない時期で、第2期は4年前からの実用化の段階だ。最近は社会インフラもクラウド化されてきており、いろいろなクラウドを使い分けるネット化の時代だ。BYODも始まっており、個人、社会、企業が融合し、1つのシステムで使う時代になっている」と語った。