JVCケンウッドは10月4日、ヘッドアップディスプレイ(HUD)の第1世代機「HU 400」の開発を完了し、ゼットエムピー(ZMP)に出荷を開始したと発表した。
自動車用などの表示装置の1つであるHUDは、フロントガラスやコンバイナーを利用してカーナビの経路案内や、車速・車間距離などの情報を表示するもので、カーナビ画面に視線を移すことなく運転できることから、安全運転に寄与するものとして注目されている。
JVCケンウッドでは、反射型の液晶表示素子とプロジェクタ光学系を用いるLCOS(Liquid Crystal On Silicon)方式と、映像信号で変調したレーザビームを鏡でラスタスキャンさせるMEMS(Micro Electro Mechanical System)方式の2つの方式のHUDを開発している。LCOS方式には、同社のプロジェクター技術を応用しており、すぐに量産化が可能なことから先行して商品開発を進めてきた。
HUD第1世代機は、より多くの自動車に取り付けが可能となるルームミラー取り付けタイプであり、HUDコア部をこれに向けた設計とし、量産化にあたっての設計・生産はパートナー企業に委託する方式を採用することで、開発期間の短縮化・効率化を実現した。また、汎用の映像入出力が可能とすることで、自動車関連の研究・開発用途に適した仕様となった。解像度は1280×720画素、輝度は1万5000cd/m2、コントラストは約1000:1。
このような仕様を活かして、カーロボティクスを推進するZMPに出荷し、同社を通じて自動車関連の教育・研究機関や企業の研究部門などに販売される見込みという。販売台数は30台限定で、価格は38万円。すでに受注を開始している。
JVCケンウッドでは、同製品の出荷開始を皮切りに、研究・開発活動を推進するとともにマーケティング活動を本格化する計画。なお、LCOS方式は主に市販向け、MEMS方式はOEM向けを想定しており、各市場においてHUDの商品化を目指すという。