関西大学は、富士通と共同でクラウド活用により教育研究システム基盤を強化し、9月21日に本格運用を開始したと発表した。
本システム基盤は、当初予定よりも利用実績が少なかったサーバを見直し、メールサーバや認証サーバなど21台を、仮想化技術を利用して、従来のサーバよりも高信頼性・高可用性で堅牢な基幹IAサーバ「PRIMEQUEST 1400S2」2台に集約した。
そのうち学生と教員が利用するメールやファイルサービスなどのサーバ群を集約した1台を、富士通の明石システムセンター内に移設し、学生や教員、スタッフの情報管理やリソース管理などのサーバ群を集約したもう1台を学内に設置して学術情報ネットワークSINET4で接続した。
また、富士通の大学向け統合ID管理システム「UnifIDone」を用いて、学内と明石システムセンターに設置した認証システムの同期を取ることで、停電時に学内のシステム基盤が停止した場合でも、明石システムセンター側で利用者認証を行うことができ、学生と教員は、24時間365日、メールサービスの利用と、教材、レポート、研究資料などの参照が可能となった。
学生と教員が利用するファイルサーバには、数年先の利用増加を見越して1人当たり1GBの容量を常時用意していたが、100%使われることはなかった。そのため、今回のシステム構築では、容量ニーズの変化に応じて柔軟にストレージ利用量を変更できるようにするため、オンデマンドで容量を拡張していくことができる、富士通のオンラインファイルサーバサービス「オーガニックストレージサービスⅡ」を活用。
このサービスはクラウド型のファイルサービスで、学内パソコンルームからの利用時は、ストレージ領域を自分のドライブとして利用できる。サービスの活用により、関西大学は、学内に保有するファイルサーバ容量を60%削減した。
今回の仮想化とクラウド型のオンラインファイルサーバサービスの活用により、関西大学は、消費電力を46%削減。これは年間168トンのCO2削減に相当。また、ICTリソースの最適化とICTリソース最適化によるICT業務効率化により、約30%のICTトータルコストを削減した。
関西大学はICT環境クラウド化を進めており、本システム基盤の強化をクラウド化への第1歩と考え、来年度以降はDaaSを利用したパソコン教室環境の刷新、学内クラウドの構築による運用の効率化とさらなる統合認証強化などを検討している。