日本IBMは10月4日、運用管理コストの軽減、飛躍的に増加するデータへの対応に加え、企業が直面する喫緊の課題であるセキュリティ脅威への対策強化に向け、「クラウド」、「データ」、「セキュリティ」の3つを主軸とした、ITインフラのビジョン「スマーター・コンピューティング」を強化。サーバ、ストレージ、ソフトウェアの新製品を発表した。

新たには発表したのは、POWER7+プロセッサを搭載した新しいサーバ「IBM Power 770」「IBM Power 780」、16テラバイトまでメモリを拡張でき、複数サーバ間の柔軟な資源共有などの機能を強化したサーバ「IBM Power 795」、暗号化機能を搭載し、従来製品よりも性能が最大3倍向上した新しいストレージ「IBM System Storage DS8870(以下、DS8870)」、 ファイルのデータ圧縮により、最大5倍まで使用容量を拡張できるよう機能強化した、ミッドレンジのユニファイド・ストレージ「IBM Storwize V7000 Unified(以下、V7000 Unified)」、 セキュリティを強化した仮想テープ装置「IBM TS7700 Virtualization Engine 3.0(以下、TS7700 3.0)」、 1.8エクサバイトのデータが保存できるLTO第6世代テープドライブに対応し、機能を強化した大容量テープ・ライブラリ「IBM System Storage TS3500(以下、TS3500)」、機密性の高い情報を統合し、分析処理できるメインフレーム向けソフトウェア「IBM DB2 Analytics Accelerator V3(以下、IDAA V3)」。

これらは、10月19日から順次出荷を開始する。

新サーバ「Power 770」、「Power 780」は、従来のPOWER7よりも最大40%高速に処理できるPOWER7+プロセッサを搭載。新しいプロセッサはCPUに内蔵されたL3キャッシュサイズが2.5倍増えている。

「IBM Power 770」

「IBM Power 780」

また、Power Systemsの仮想化技術「PowerVM」は、機能拡張により、1プロセッサコアあたりの最大仮想サーバ数が従来の10区画から20区画まで増加。また、筺体をまたがって論理区画を瞬間的に移動させる「ライブ・パーティション・モビリティ」は、パフォーマンスと並列処理を強化した。

Power 780および機能拡張したPower 795は、キャパシティ・オン・デマンド(CoD)の仕組みを利用した新機能「Power System Pools」を提供。複数のPower 780やPower 795をまたいで、プロセッサやメモリといったコンピューター資源をシステムプールとして集約し運用する。

「IBM System Storage DS8870」

PowerSC製品ファミリーの新ソフトウェア「PowerSC Trusted Surveyor」は、ネットワーク分離ポリシーに対する仮想ネットワークのコンプライアンスを監視してレポートを作成したり、違反の振る舞いを検知するとリアルタイムでアラートを上げる機能を持っており、また、POWER7+ には、暗号化専用アクセラレータを新たに搭載し、AIXファイルシステム暗号化の処理能力を向上する。

DS8870は、コントローラーにPOWER7プロセッサを新たに搭載し、従来製品であるDS8000よりも、パフォーマンスが最大3倍、エネルギー効率が20%向上した、新しいディスク・ストレージ・システム。コントローラーのプロセッサ・メモリの最大容量は、DS8000よりも166%増加し、1TBまで搭載可能。また、標準搭載された自動暗号化ドライブによってセキュリティを強化していることに加え、最小構成から最大構成までシステムを止めずにアップグレードでき、将来的にデータ処理量が増大した際にも無停止で拡張できる。

V7000 Unifiedは、機能拡張により、ブロック・データに加えてファイル・データも、リアルタイムで圧縮し、最大80%の容量削減が可能になったミッドレンジのユニファイド・ストレージ製品。また、役割に応じた管理や監視を可能にしたことで、セキュリティも強化した。

「IBM TS7700 Virtualization Engine 3.0」

TS7700 3.0は、従来製品を機能拡張した仮想化テープ装置で、ディスク・ベースの暗号化機能によってセキュリティを強化し、管理画面の操作性を向上させたことに加え、データ格納量も40%増加した。

TS3500 は、磁気テープ規格「LTO(Linear Tape-Open)」の第6世代に準拠したテープドライブ機構を追加した、大容量テープ・ライブラリ。従来の第5世代LTOテープドライブに比べ、容量は約2.5倍に、性能は約40%向上し、エネルギー効率を30%以上改善した。

IDAA V3は、8月に発表した「IBM zEnterprise EC12(以下、zEC12)」と連携することで、基幹データと、社内外で生成されるビッグデータを統合し、リアルタイムなデータ分析を実現する。

価格や出荷日は以下の表のとおり。

機種名 最小構成価格(税別) 出荷開始日
IBM Power 770 1,628万4,900円 10月19日
IBM Power 780 2,775万5,700円 10月19日
IBM System Storage DS8870 1億1,704万8,000円 10月19日
IBM Storwize V7000 Unified 1,277万円から 11月9日
IBM TS7700 Virtualization Engine 3.0 3,262万円 12月7日
IBM System Storage TS3500 1,091万円から 11月9日
IBM DB2 Analytics Accelerator V3 627万2,000円 11月30日