クリエイション現場において、大容量のデータのやり取りは日々発生するもの。扱うデータの容量も年々重くなってきており、スムーズなデータのやり取りは、プロジェクトの進行や完成形に大きな影響を及ぼすといえる。本企画では、そんなデータのやり取りに、シーイーシーの販売するクラウドストレージサービス「Webhard」を導入しているクリエイターに話を伺っていく。第1回に登場するのはマンガ家/映像作家のクリエイター タナカカツキ氏が登場する。

クリエイティブ作業と大容量のデータ

マンガ家として『オッス! トン子ちゃん』、『バカドリル』(天久聖一との共著)といった作品を世に出し、近年では、ミュージシャン キリンジのCDジャケットのアートディレクションなども行なっているクリエイター タナカカツキは、データの保管やビジネス上での重いデータのやり取りなどにクラウドストレージサービス「Webhard」を利用しているという。この「Webhard」はクリエイターの作業環境や作品制作にとって、どのような利点を持つのであろうか。タナカ氏に「Webhard」の魅力を聞いた。

タナカカツキ
1966年、大阪生まれ。85年にマンガ家デビュー。京都精華大学美術学部ヴィジュアルデザイン学科を卒業後は、劇団主宰、放送作家などを経て、94年にフルCG 『カエルマン』 を制作。映像作品『ALTOVISION』では「After Effects」や「3ds Max」を駆使して、斬新な映像表現に挑んだ。マンガ家/映像作家/アートディレクターなど、様々な顔を持つ。著書には『オッス!トン子ちゃん』『サ道』、天久聖一との共著「バカドリル」など
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マンガ家、映像作家など、様々な顔を持つタナカ氏。その仕事量も膨大で、大容量のデータを扱うことも多いという。

「僕の場合、ずっと並列して50案件くらいのプロジェクトが進行しています。2、3年後に形になるというプロジェクトから、数日中に仕上げるというプロジェクトまで、タイプは様々です。完全にひとりで作業するものもあれば、複数のメンバーでデータを共有しながら進めていかなければならないものもあります。その中でも、特に映像関係のデータは大きいですね。素材で数ギガあるデータを常にやりとりしています」(タナカカツキ氏、以下同)

映像制作のための膨大なデータをタナカ氏はどのように扱っているのだろうか。

「これまではSkypeを活用する事がほとんどでした。プロジェクトを共有しているメンバーとの意見交換やデータのやり取りもSkype上で行うことが多かったです。大容量のデータでも、就寝前に先方に送信しておけば、朝には先方のPCに届いている。そのように、Skyaeは非常に便利なのですが、問題もあります。大容量のデータを直接先方に送るので、急ぎの時には向いていません。また、ファイル管理機能はないので、複数の人間が何度もデータを修正するようなプロジェクトには不向きなのです」

クラウドストレージサービス「Webhard」との出会い

「Webhard」の魅力を語るタカナカツキ氏

Skypeでのデータのやりとりにやや不満を感じたタナカ氏は、Skype以外のクラウドストレージサービスを検討しはじめた。新たなサービスに求めたのは、Skypeでは満たせない「プロジェクトごとのデータ管理と共有」と「高速なデータ転送」。また、有料サービスを導入するにあたっては、そこで発生するコストも検討課題だった。

「クラウドサービスの中には、転送速度の面のみであれば要件を満たすものなどはありました。ただ、各プロジェクトごとのデータ管理と、プロジェクトメンバー内での共有ができるものと考えると、(クラウドサービスの)選択肢はあまり多くなかったです。そのなかで最終的な決め手になったのは費用対効果の面でした。クリエイション業務において、常にいくつものプロジェクトを並行して行なっていますが、プロジェクトによっては、Skypeで事足りるケースもあります。そのため、ユーザ単位の契約形態のものでなく、契約容量内であればユーザ数が自由に選択でき、状況に合わせて契約容量を変更することも可能なWebhardがかなり魅力的でした。必要な時に必要な容量を利用し、自由にそのリソースをプロジェクトに割り振れるという面が凄く気に入りましたね」

クリエイターにとっての「Webhard」の利点とは

「Webhard」の導入で、抱えていた問題点が実際に改善されたとタナカ氏は語る。

「これまで大容量のデータの送信には一晩かけていたのですが、それでは急なデータ修正に対応できなかったんです。また、Webhardは、ファイルの管理機能も充実しているので、チームでの作業に向いていますね。導入後は、データのアップロードも早くなり、1アカウントで管理者が利用ユーザを何人でも設定できるので、無駄なく運用できるようになりました。ひとつのプロジェクト内では、自分には関わりがないデータも存在するのですが、通常のメールやデータ便でのやりとりでは、直接作業に関わりがない人は、そのデータを見る機会がないという場合も多いのです。データや進行状況を確認できず、チーム作業に支障をきたす場合もあります。Webhardなら、そのような事もなく、情報やデータを共有できるのがいいですね。マルチデバイス対応なので、外出先で急にデザインなどを確認したいというケースでも、Webhardは使えます」

600MBを超えるファイルでも難なくアップロードでき、スピード感を高めたファイル共有ができる(左)。アカウントの登録数は無制限で、瞬時に発行可能。プロジェクト毎にメンバーと、そこで共有されるデータを共有できることが魅力だという(右)

最後にタナカ氏はクリエイターの心情的な部分にも触れWebhardの魅力を語った。

「作業データがしっかりと管理されているというのは、整理整頓が好きな僕にとっては、とても大切なことです。あと、新しいサービスを導入して、それで作業するという時点で、チームによるクリエイティブ作業は盛り上がります。Webhardはサーバをご自身で持っていなくて、データ便などを利用している人にとっても、サーバを自分で持っているかのような運用が可能なので良いです。興味のある方は、ぜひ試してみて欲しいですね」

まとめ

Webhard導入前の課題 Webhard導入効果
急ぎの必要があるデータの共有に対応できないSkypeでは、複数の人間が何度もデータを修正するようなプロジェクトに向いていない 高速なアップロード・ダウンロード環境により、急務への対応が可能になった
複数のプロジェクトが同時進行している中で、各プロジェクトのファイル管理とその共有が、Skypeでは対応しきれていなかった プロジェクトごとに利用ユーザの設定と、そこでのファイル管理ができるようになった。また、容量課金制の為、無駄なコストも発生させずに運用ができる

撮影:石井健