ルネサス エレクトロニクスは10月3日、二輪車や新興国などで普及する自動車用のメータ制御向けに低消費電力の16ビットマイコン「RL78ファミリ」の新製品として「RL78/D1A」グループ21品種を発表した。

中国、インドなどの新興国では、手頃な価格帯の二輪車や自動車が普及しており、今後も成長が期待されている。二輪車用メータにおいては、信頼性の向上などを目的に従来の機械式からマイコンを使用した電子式への移行が進展しつつある。特に、排気量の小さな小型車種ではメータ用のスペースが狭く、電子化するためには、システムを小型化する必要がある。一方、自動車用メータでは、すべてのグレードの車種に燃費情報などの情報表示が求められている。このため、マイコンが扱う情報量の増加にともなうパッケージピン数の増加や、機能向上によるプログラム増加に対応した内蔵フラッシュメモリ容量の拡大による対応が必要となってきた。

同社は、以前からローエンドのメータ制御向けに8ビットマイコン「78K0/Dx2」など、システムに必要な機能をほぼ搭載した64/80ピンパッケージ品を量産してきたが、今回、近年の市場ニーズに応えるため、統合16ビットマイコン「RL78ファミリ」を適用し、小型化と機能強化を図った48~100ピンパッケージの同製品群を製品化した。

小型二輪車用メータ向け1チップマイコンでは、業界最小クラスを実現した48ピンパッケージを投入。従来品「78K0/Dx2」の64ピンパッケージの10mm角サイズから約半分となる7mm角まで小型化しており、スペースの狭い小型二輪車用メータに搭載できる。また、メモリ容量やパッケージなどの違いによる50品種以上を提供する予定だという。

低価格自動車用メータ向けでは、豊富な車両情報表示の実現に向けて100ピンパッケージ品を展開する計画。同製品群では、フラッシュメモリ容量を256KBに拡張し、TFT-LCDの駆動用端子の増加により53桁×4行までの表示を可能にするなどの機能強化を図った。これにより、メータのTFT-LCDに燃費情報などさらに豊富な車両情報を表示可能となる。

「RL78/D1A」は、従来品同様にスピード表示用の針を駆動するステッピングモータのコントローラ/ドライバや走行距離などのTFT-LCD制御を行うLCDコントローラ/ドライバ、警告音発生用のサウンドジェネレータなどの機能に加え、今回データフラッシュの搭載により、メータの表示制御用システムを1チップ化でき、システムの低コスト化と開発期間短縮に寄与する。

なお、48~100ピンまで、ソフトウェアの互換性があるため、急な仕様変更によるマイコン置き換えにも柔軟に対応することができる。さらに、変化の早い成長市場における早期システム開発をサポートするために、リファレンスデザインを用意し、中国や新興国のユーザへ提供していくとしており、これにより、成長市場におけるシステムコスト低減の早期実現や、二輪車メータにおける電子化の普及に対応していくとする。

サンプル価格は、48ピンパッケージに搭載された「R5F10DGEJFB」が500円となっており、今後は、より機能の豊富なメータに向けて、ピン数や内蔵フラッシュメモリ容量を拡大した製品群を開発し、市場ニーズにタイムリーに対応していくとしている。

ルネサスの車載メータ用マイコン「RL78/D1A」

ルネサスの「RL78/D1A」評価ボード