テクトロニクス社は10月2日、上位機種のみ提供されていたシリアルバスのデコードやトリガなどの優れたデバッグ機能を備えたオシロスコープのエントリモデル「MSO/DPO2000B」シリーズを発表した。
ここ数年、自動車、民生用デバイスから産業用制御、医療システムまで、幅広い業界で電子回路が使用されるようになり、消費者の要求も高度化し、より多くの機能が求められている。一方、エンジニアや教職員は、限られた予算の中で多様な要求に対応すべく、計測器に対してもさらに多くの機能を求めるようになってきた。
同シリーズは12機種あり、周波数帯域は70~200MHzのラインアップで構成され、業界トップクラスの1Mポイントレコード長を装備している他、独自のWave Inspector機能を使用したマニュアル・自動のサーチ機能によって、ロングメモリ内の特定のイベントを簡単に検出することが可能。さらに、電子回路設計におけるシリアルインタフェースの広範囲なアプリケーションに対応するため、シリアルデコード、トリガ、サーチのモジュールを従来の機種に比べて50%以上引き下げている。この他、7型ワイドスクリーンディスプレイ、全チャンネル同時1GS/sのサンプリングレート、汎用性の高いTekVPIプローブインタフェースなど、多くの機能を備えている。
「MSO/DPO2000B」シリーズは、組み込み設計の複雑なコンポーネントやシステムレベル問題の検証、特性評価、デバッグに必要な性能・機能を装備する。具体的には、I2C、SPI、RS-232、CAN、LINなど、代表的なシリアルバスのデコード、トリガ、サーチ機能が挙げられる。さらに、標準装備のトリガ機能により、ラントパルス、セットアップ/ホールド時間違反、立ち上り/立ち下り時間違反などのデジタルシステムの異常を取り込むこともできる。これらにより、教室/実験室での実習を、実際の産業界のトレンドに近づける必要がある教育環境においても、理想的なオシロスコープとなっている。
筐体サイズは質量が3.6kg、奥行が13.4cm。ポータブルパッケージでこれらの機能を実現している。同社のオシロスコープ「TDS2000」シリーズを利用中のユーザーも「MSO/DPO2000B」シリーズに容易に移行できるという。
なお今回の新製品発売を記念して同社では、「MSO/DPO2000B」シリーズ本体を一律10%オフで提供し、さらに、I2C/SPI、RS-232、CAN/LINなどから、希望するシリアルバス解析モジュールを1本プレゼントするキャンペーンを実施する。キャンペーン期間は2013年3月末日までの予定。また、今回の発表と同時に、16デジタルチャンネルを装備した従来製品の「MSO2000B」シリーズの値下げも行っている。